2023年03月02日
サマリー
◆2022年12月に「昆明・モントリオール生物多様性枠組」が採択された。前身の愛知目標と比べ、具体的な数値を盛り込んだターゲットが増加し、モニタリングフレームワークも採択された。採択に至る議論の中では、新型コロナウイルス感染症をきっかけに生物多様性と健康の関係も注目された。
◆ビジネスや資金に関する議論も活発だった。ビジネスに関するターゲットでは、企業活動が生物多様性に与える影響を開示することが含まれた。資金に関するターゲットでは、具体的な資金動員の目標金額が示されたほか、グリーンボンドや生物多様性のオフセット等のスキームの拡充が含まれた。
◆各国政府は今次枠組を受けて、生物多様性国家戦略の策定・改定に入る。達成期限である2030年まで7年しかない中で、各国は短期間で成果を生み出す必要がある。日本政府も次期戦略の策定を進めているが、生物多様性に対する世間の理解・関心は低く、政府が取り組みを進める上で不可欠な国民の理解を得るのが困難であることが、生物多様性保全や活用推進の障壁となるおそれがある。今後、生物多様性の保全や活用のために求められる具体的なアクションを含む、普及啓発が求められよう。
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