2021年03月19日
サマリー
◆世界経済フォーラムによると、世界全体のGDPの半分以上(約44兆ドル)の経済的価値の創出が、自然資本に依存している。自然資本を形成する上で柱となるのが生物多様性であり、生物多様性の喪失は気候変動と同様、近年深刻化する環境問題の1つである。
◆生物多様性を保全するために国内外で様々な取り組みが加速している。注目すべき動きとして、2021年中に開催予定の生物多様性条約第15回締約国会議(COP15)が挙げられる。2030年に向けた国際目標が採択される見込みだ。また、2021年は金融機関や企業に自然資本に関する事業機会とリスクの開示を求める、自然関連財務情報開示タスクフォース(TNFD)が正式に発足する予定である。
◆EUはサステナブルファイナンス行動計画の下、生物多様性に関するタクソノミー(環境的に持続可能な事業であるかの分類法)を策定予定である。国連責任投資原則も、2020年に投資家に生物多様性を投資判断に組み込むことを促すディスカッションペーパーを公表済である。今後、ESG投資の投資判断に生物多様性を組み込む動きが急速に進む可能性がある。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
執筆者のおすすめレポート
同じカテゴリの最新レポート
-
生活費危機の時代に重要な「生活賃金」
多様なステークホルダーとの「賃金をめぐる対話」が企業の課題に
2025年09月18日
-
EUサステナ開示規制の域外適用見直しへ
米国とEUは関税合意の一部としてサステナ開示の域外適用を見直す
2025年09月12日
-
機械学習による有価証券報告書(2025年3月期)の人的資本開示の可視化
経営戦略と人事戦略の連動や、指標及び目標の設定に課題
2025年08月01日
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
第226回日本経済予測(改訂版)
低成長・物価高の日本が取るべき政策とは?①格差問題、②財政リスク、を検証
2025年09月08日
-
聖域なきスタンダード市場改革議論
上場維持基準などの見直しにも言及
2025年09月22日
-
今後の証券業界において求められる不正アクセス等防止策とは
金融庁と日本証券業協会がインターネット取引の新指針案を公表
2025年09月01日
-
日本経済見通し:2025年9月
トランプ関税で対米輸出が大幅減、製造業や賃上げ等への影響は?
2025年09月25日
-
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
第226回日本経済予測(改訂版)
低成長・物価高の日本が取るべき政策とは?①格差問題、②財政リスク、を検証
2025年09月08日
聖域なきスタンダード市場改革議論
上場維持基準などの見直しにも言及
2025年09月22日
今後の証券業界において求められる不正アクセス等防止策とは
金融庁と日本証券業協会がインターネット取引の新指針案を公表
2025年09月01日
日本経済見通し:2025年9月
トランプ関税で対米輸出が大幅減、製造業や賃上げ等への影響は?
2025年09月25日
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日