2023年01月10日
サマリー
◆気候変動だけではなく、自然資本についてもリスクと機会の開示を求める動きがある。TNFDは自然資本に関する情報開示フレームワークを策定中であり、2022年に「自然関連のリスクおよび機会のマネジメントと開示に関するフレームワーク」のドラフト(ベータ版)を公表している。本稿執筆時点で複数回のアップデートが実施されており、2023年9月に最終版が公表される見込みだ。
◆TNFDの示すフレームワークはTCFDを参考にしており、「ガバナンス」「戦略」「リスクと影響の管理」「指標と目標」の4つを柱としている。ただし、開示すべき「指標と目標」は現時点で明確になっておらず、2023年3月にドラフトが公表される予定である。
◆2022年12月に生物多様性条約第15回締約国会議第二部で締結された「昆明・モントリオール生物多様性枠組」ではターゲットの1つにビジネスにおける生物多様性への影響評価・情報公開の促進が盛り込まれた。ISSBも生物多様性等に関する研究を進めることを表明しており、TNFDに基づく開示がTCFDのように各国で制度化されていくことが予想される。企業は自然資本に関するリスクと機会の評価を開始しておくことが望ましい。
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