2018年06月06日
サマリー
◆日本企業におけるダイバーシティの状況を分析するため、データが入手できた上場企業を対象に2011年度から2015年度の動向を調べたところ、以下の結果を得た。
◆管理職や役員に女性や外国人が占める比率を経時的に見ると、これら比率自体は緩やかながらも上昇傾向を示し、女性や外国人の登用が進んできていることがわかった。しかし、その比率は低い水準にとどまっており、日本企業におけるダイバーシティは、まだまだこれからといった状況にある。
◆役員のダイバーシティについては、女性は執行役員よりも取締役等に選任されることが多いと解釈できる結果を得た。また、女性と外国人を比較すると、女性に比べて外国人は執行役員に選任されることが多いようである。経営や技能に優れた人材として、執行役員、または取締役と執行役員の兼任として選任されているケースが想定される。女性と外国人でダイバーシティの進展の状況が異なっているようである。
◆管理職や役員への登用などで女性の活躍を促進するには、その人材プールを拡大する必要があろう。従業員女性比率と管理職女性比率や役員女性比率との相関関係を分析すると統計的に有意な正の相関があり、特に管理職女性比率との相関係数が高いことがわかった。至極当たり前のようにも思えるが、やはり従業員女性比率が高いほど管理職などへの女性の登用が進んでいることがデータで確認できたと言える。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
執筆者のおすすめレポート
-
離職者比率の水準と企業パフォーマンス(下)
~離職者比率が低い企業はROA、ROEが高く、投資パフォーマンスも高い~
2018年03月05日
-
離職者比率の水準と企業パフォーマンス(上)
~離職者比率の水準はセクターや企業によって異なるが、経時的には安定的に推移している傾向がうかがえる~
2018年02月23日
同じカテゴリの最新レポート
-
スチュワードシップとESGは別モノ:英FRC
英国でスチュワードシップの定義を変更、ESG要素を削除
2025年06月13日
-
ISSBがIFRS S2の改正案を公表
温室効果ガス排出量の測定・開示に関する要件を一部緩和
2025年05月16日
-
年金基金のESG投資を実質禁止へ:米労働省
バイデン政権時代に制定されたESG投資促進の規則は廃止へ
2025年05月14日
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
日本経済見通し:2025年4月
足元の「トランプ関税」の動きを踏まえ、実質GDP見通しなどを改訂
2025年04月23日
-
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
-
信用リスク・アセットの算出手法の見直し(確定版)
国際行等は24年3月期、内部モデルを用いない国内行は25年3月期から適用
2022年07月04日
-
「反DEI」にいかに立ち向かうか
米国における「DEIバックラッシュ」の展開と日本企業への示唆
2025年05月13日
-
中国:関税115%引き下げ、後は厳しい交渉へ
追加関税による実質GDP押し下げ幅は2.91%→1.10%に縮小
2025年05月13日
日本経済見通し:2025年4月
足元の「トランプ関税」の動きを踏まえ、実質GDP見通しなどを改訂
2025年04月23日
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
信用リスク・アセットの算出手法の見直し(確定版)
国際行等は24年3月期、内部モデルを用いない国内行は25年3月期から適用
2022年07月04日
「反DEI」にいかに立ち向かうか
米国における「DEIバックラッシュ」の展開と日本企業への示唆
2025年05月13日
中国:関税115%引き下げ、後は厳しい交渉へ
追加関税による実質GDP押し下げ幅は2.91%→1.10%に縮小
2025年05月13日