2018年08月06日
サマリー
◆日本企業におけるダイバーシティの状況を分析するため、データが入手できた上場企業を対象に企業の規模、セクター、33業種で2011年度から2015年度の動向を調べたところ、以下の結果を得た。
◆規模別の管理職や役員などに女性が占める比率は、緩やかではあるがおおむね上昇傾向を示している。ただ、企業の規模と女性比率との間には特に関係は見られなかった。セクター別では、女性比率が経時的に上昇しているセクターが多いこと、「サービス」や「金融」などの非製造業に属するセクターの女性比率が高いことが分かった。
◆外国人比率に関しては、経時的に上昇しており、規模の大きい企業の方が外国人の比率が高いという傾向が見られた。また、セクター別では、女性比率とは違って、「加工・組立」や「その他製造業」など、製造業に属するセクターの外国人比率が高い。
◆もっとも全体として見た場合、女性比率や外国人比率はダイバーシティが進んでいるとは言い難い水準にとどまっている。特に、管理職における外国人比率が非常に低いことが目立ち、役員や執行役員への外国人の選任が多少はあるとはいっても、それは外部からの選任であるという状況にとどまっていることが推測される。外国人に関するダイバーシティを進めるには、人材プールの拡大や研修などにより管理職への外国人の登用を進めることが必要となりそうである。
◆33業種別に見ると、女性と外国人の両面でダイバーシティが進んでいるのは、「その他製造業」セクターの「医薬品」、「運輸・公益」セクターの「情報・通信業」、「金融」セクターの「証券・商品先物取引業」であった。他方、「素材」セクターの「パルプ・紙」「ガラス・土石」「鉄鋼」、「加工・組立」セクターの「精密機器」、「その他製造業」セクターの「金属製品」、「その他非製造業」セクターの「水産・農林業」「建設業」は女性や外国人の登用が相対的に進んでいない。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
執筆者のおすすめレポート
-
ダイバーシティと企業パフォーマンス(1)
~日本企業における女性や外国人に関するダイバーシティの状況~
2018年06月06日
-
離職者比率の水準と企業パフォーマンス(下)
~離職者比率が低い企業はROA、ROEが高く、投資パフォーマンスも高い~
2018年03月05日
-
離職者比率の水準と企業パフォーマンス(上)
~離職者比率の水準はセクターや企業によって異なるが、経時的には安定的に推移している傾向がうかがえる~
2018年02月23日
同じカテゴリの最新レポート
-
東証が求めるIR体制の整備に必要な視点
財務情報とサステナビリティ情報を統合的に伝える体制の整備を
2025年04月28日
-
サステナビリティ課題への関心の低下で懸念されるシステムレベルリスク
サステナビリティ課題と金融、経済の相互関係
2025年04月21日
-
削減貢献量は低炭素ソリューションの優位性を訴求するための有用な指標となるか
注目されるWBCSDのガイダンスを踏まえて
2025年04月17日
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
トランプ関税で日本経済は「漁夫の利」を得られるか?
広範な関税措置となっても代替需要の取り込みで悪影響が緩和
2025年03月03日
-
地方創生のカギとなる非製造業の生産性向上には何が必要か?
業種ごとの課題に応じたきめ細かい支援策の組み合わせが重要
2025年03月12日
-
中国:全人代2025・政府活動報告を読み解く
各種「特別」債で金融リスク低減と内需拡大を狙う
2025年03月06日
-
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
-
2025年の日本経済見通し
1%台半ばのプラス成長を見込むも「トランプ2.0」で不確実性大きい
2024年12月20日
トランプ関税で日本経済は「漁夫の利」を得られるか?
広範な関税措置となっても代替需要の取り込みで悪影響が緩和
2025年03月03日
地方創生のカギとなる非製造業の生産性向上には何が必要か?
業種ごとの課題に応じたきめ細かい支援策の組み合わせが重要
2025年03月12日
中国:全人代2025・政府活動報告を読み解く
各種「特別」債で金融リスク低減と内需拡大を狙う
2025年03月06日
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
2025年の日本経済見通し
1%台半ばのプラス成長を見込むも「トランプ2.0」で不確実性大きい
2024年12月20日