2018年01月24日
サマリー
◆企業が人的資本を蓄積するには、人材を育成するだけでなく、その人材の定着を図る必要がある。人材育成制度の導入は、企業の魅力を高めることにもなり離職を防ぐ効果も期待できよう。そこで、日本の上場企業を対象に、人材育成に関する制度の導入状況と離職者比率の関係を調べたところ、以下の結果を得た。
◆人材育成制度の導入の有無でグループ分けし、離職者比率の水準を比較すると、導入ありのグループの離職者比率が低い。また、制度の導入数による分析では、導入数が多いほど離職者比率が低いという関係がうかがえる結果を得た。
◆2011年度の制度の導入状況でグループ分けし、2015年度までの離職者比率を見ると、キャリアアップ支援制度以外については、人材育成制度の導入状況が将来の離職者比率と関係している可能性を示唆する結果を得た。
◆人材育成制度の導入は人材の定着という経路からも、人的資本の蓄積に寄与する可能性がある。今後、企業がさらに人材育成を強化することが、高度なスキルを持つ人材や経営幹部の育成だけでなく、企業の魅力を高めることを通じて人的資本の蓄積に寄与することが期待される。
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