2017年09月07日
サマリー
◆ESGファクターとして、売上高当たりCO2排出量の水準と増減、女性管理職の登用と女性役員の選任、独立取締役の選任の5つを用い、2012年初から2016年末までの5年間の時価総額加重平均リターンを算出したところ、次の結果を得た。
◆単独のファクターで企業を二分し、リターンを算出すると、独立取締役の選任以外の4つのファクターで、リターンの高いことが期待されるグループのリターンが実際に高かったことが確認できた。
◆また、独立取締役に関しては、独立取締役を選任しているものの取締役に占める比率が10%未満の企業のリターンは配当込みTOPIXのリターンより低いが、独立取締役の比率が50%以上の企業のリターンは高い。市場は積極的に独立取締役を選任していることを高く評価し、それによる企業ガバナンスがもたらすであろう企業パフォーマンスに期待している可能性があろう。
◆2つのファクターを組み合わせた場合は、単独のファクターでリターンの高いことが期待されるファクターを組み合わせても、単独ファクターで作成したグループのリターンを上回ることは難しい。
◆逆に、リターンの劣ることが想定されるファクターを組み合わせると、単独のファクターによるリターンを下回ったケースが10の組み合わせのうち6つあった。このような組み合わせに該当する企業への投資を控えることがリターンの低下を防ぎ、複数のファクターを考慮しない場合に比べてリターンが向上することが期待できよう。
◆本稿の分析結果は、ESGファクターとリターンとの因果関係を示したものではない。また、業種構成の違いや、グループによっては属する企業数が少ないことなどの影響も考えられる。しかし、本稿の分析結果は投資プロセスにESGファクターを考慮することが投資パフォーマンスの向上に寄与する可能性を示していると考えられよう。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
執筆者のおすすめレポート
-
日本企業の人材育成制度の導入状況と財務パフォーマンス(上)
~人材育成に関する制度の導入状況とその動向~
2017年12月20日
-
ESGファクターと企業パフォーマンス(上)
~ESGファクターの組み合わせとROA、ROEの関係~
2017年05月25日
-
ESGファクターと企業パフォーマンス(中)
~ESGファクターの組み合わせと平均的リターン水準の関係~
2017年07月05日
同じカテゴリの最新レポート
-
GX-ETS本格稼働で強まるJ-クレジットの早期確保への動き
市場に依存しない、上流(創出)関与と相対・長期での確保が鍵
2026年02月05日
-
人的資本可視化指針改訂で期待される経営戦略と人材戦略の深化
期待される開示の負担軽減と比較可能性の向上
2026年01月23日
-
バイオマス発電の質による選別と高付加価値化への潮流
BECCS・国内資源活用という新たな方向性
2026年01月21日
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
超富裕層の株式譲渡所得への税率はミニマムタックス込みで最高35.63%に
2026年度税制改正大綱解説(3)富裕層課税(ミニマムタックス)
2026年02月09日
-
理系進路選択に対する男女差の要因分析
女性の理系人材を増やすには、より早期段階での介入や対応が必要
2026年02月06日
-
2026年の東証改革の方針
上場会社の質の向上と新陳代謝を促進する市場機能の強化
2026年02月02日
-
高市政権の財政政策は更なる円安を招くのか
財政支出の拡大ショックは翌年の円安に繋がる
2025年12月18日
-
第228回日本経済予測
第2次高市政権の重点政策、どう進めるか①外国人労働者受け入れ、②消費減税/成長・危機管理投資、を検証
2026年02月20日
超富裕層の株式譲渡所得への税率はミニマムタックス込みで最高35.63%に
2026年度税制改正大綱解説(3)富裕層課税(ミニマムタックス)
2026年02月09日
理系進路選択に対する男女差の要因分析
女性の理系人材を増やすには、より早期段階での介入や対応が必要
2026年02月06日
2026年の東証改革の方針
上場会社の質の向上と新陳代謝を促進する市場機能の強化
2026年02月02日
高市政権の財政政策は更なる円安を招くのか
財政支出の拡大ショックは翌年の円安に繋がる
2025年12月18日
第228回日本経済予測
第2次高市政権の重点政策、どう進めるか①外国人労働者受け入れ、②消費減税/成長・危機管理投資、を検証
2026年02月20日

