2017年01月25日
サマリー
◆ソーシャル・インパクト・ボンド事業において、公費も含めて多種多様な資金の流入が期待されている。本稿では、そのような資金のうち「休眠預金」及び「寄附金」について、金額規模及びSIB事業への資金流入可能性等を分析し、民間投資が進むための課題について検討する。
◆休眠預金は、預金者による払戻し対応後の残高金額で、2010~13年度平均で約644億円と推計されるが、2019年の助成・貸付開始時には1,000億円超に増加している可能性もある。寄附金は、2015年度の民間公益事業費は、5.3兆円であった。資産規模では、寄附金が休眠預金よりも圧倒的に多い。
◆寄附金は全ての分野の社会的事業が助成対象となるが、休眠預金の場合には主に3つの分野に活用が限定されている。寄附金と休眠預金の活用先を考慮すると、事業分野によってSIB事業の資金供給に差が生じる恐れがあることが明らかになった。社会的事業に対する休眠預金と寄附金の資金供給量におけるバランス、社会的事業の分野別の資金供給のバランス、にも配慮する必要があるだろう。
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