2022年07月27日
サマリー
◆家計簿アプリやスマートフォン向け証券アプリ(スマホ証券)、ロボアドバイザー(ロボアド)といった資産管理・運用関連のFinTechが家計の金融行動に及ぼす影響について、以下では、海外事例や研究から示唆されることの整理を試みる。
◆家計簿アプリは、裁量的支出を中心に過剰消費の抑制に繋がっている事例が多い。また、ユーザーと類似の家計の消費額を画面上に示すことで支出管理を促すユニークな例もあり、アプリ上の表示内容次第で家計の貯蓄を後押しできることが期待できる。
◆スマホ証券は、「シンプルさ」「分かりやすさ」が投資のハードルを下げる一方、ボラティリティが高い銘柄が購入される傾向にあるなど、投資家の行動バイアスを強める恐れもある。ロボアドは、行動バイアスを抑制する効果があるとの見方が多いものの、多くの投資家はデジタルな助言をさほど選好していないことがデータからは示唆される。
◆資産管理・運用関連のFinTechの便益は大きいものの、予期せぬ副作用をもたらす恐れもある。一部では、顧客へのデジタルなアプローチが裏目に出ていないか適宜検証している取り組みもあり、家計へのインパクトに意識を向けたサービス設計が望まれる。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
執筆者のおすすめレポート
-
SECによる株取引アプリの規制に関わる議論
証券会社によるAIや予測分析に関する問題へのコメント募集を実施
2022年01月21日
-
金融DXで明らかになる有望な金融ビジネスモデル
~問われる稼ぐ力の強化との整合性~『大和総研調査季報』2022年4月春季号(Vol.46)掲載
2022年04月21日
-
顧客本位・金融教育・ナッジで促す家計の資産形成
~ 日本証券業協会・匿名個票データを用いた証券投資の必要性認識の決定要因の分析~『大和総研調査季報』 2020 年春季号(Vol.38)掲載
2020年04月21日
-
若年層の資産形成をいかに促すか
~若年層の投資への姿勢と投資優遇税制、テクノロジー~『大和総研調査季報』2019年秋季号(Vol.36)掲載
2019年10月23日
関連のレポート・コラム
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
日本経済見通し:2024年2月
2025年度にかけて1%前後のプラス成長と2%インフレを見込む
2024年02月22日
-
ビットコイン現物ETF、日本で組成可能か?
米SEC承認を受けて、日本で導入することの法制度上の是非を考察
2024年02月13日
-
第220回日本経済予測(改訂版)
賃上げの持続力と金融政策正常化の行方①自然利子率の引き上げ、②投資と実質賃金の好循環、を検証
2024年03月11日
-
日本経済見通し:2024年3月
24年の春闘賃上げ率5%超えを受け、日銀はマイナス金利政策を解除
2024年03月22日
-
2024年の日本経済見通し
緩やかな景気回復と金融政策の転換を見込むも海外経済リスクに注意
2023年12月21日
日本経済見通し:2024年2月
2025年度にかけて1%前後のプラス成長と2%インフレを見込む
2024年02月22日
ビットコイン現物ETF、日本で組成可能か?
米SEC承認を受けて、日本で導入することの法制度上の是非を考察
2024年02月13日
第220回日本経済予測(改訂版)
賃上げの持続力と金融政策正常化の行方①自然利子率の引き上げ、②投資と実質賃金の好循環、を検証
2024年03月11日
日本経済見通し:2024年3月
24年の春闘賃上げ率5%超えを受け、日銀はマイナス金利政策を解除
2024年03月22日
2024年の日本経済見通し
緩やかな景気回復と金融政策の転換を見込むも海外経済リスクに注意
2023年12月21日