2022年04月21日
サマリー
金融DX(デジタル・トランスフォーメーション)によって金融業界におけるビジネスモデルの優劣が明らかになってくる可能性が高い。規制緩和によって金融業態別の壁あるいは他産業との法的な壁が低くなる中で、金融DX戦略が、目指すビジネスモデルの強化と整合性が取れているかが、大手中小、あるいは業態を問わず、中長期の戦略の中で問われている。この整合性が取れていないと、既存のビジネスモデルの強みの源泉(コアコンピタンス)自体を失いかねない。現在進められている個別の金融機関の金融DX戦略はビジネスモデルの変革ではなく、単なる自動化・省力化であることが多く、将来、既存の金融商品・サービスの付加価値の低下(=コモディティ化)につながることが想定される。さらにマス顧客層向けの商品サービスをコモディティ化しようとするメガバンクのプラットフォーム戦略によって、この波にさらわれる地域銀行等は中長期的に稼ぐ力が大幅に劣化することが懸念される。一方、大手証券会社等は富裕層向けの付加価値の高いアドバイスを軸に据えた金融DX戦略によるビジネスモデル強化に取り組んでいる。本稿では、これらを踏まえ、プラットフォーム軸と顧客軸で有望な金融ビジネスモデルの候補を3つ挙げて、将来の有望な金融ビジネスモデルを見定めていく。
大和総研調査本部が長年にわたる知識と経験の蓄積を結集し、的確な現状分析に基づき、将来展望を踏まえた政策提言を積極的に発信していくとのコンセプトのもと、2011年1月に創刊いたしました。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
関連のレポート・コラム
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
日本経済見通し:2024年2月
2025年度にかけて1%前後のプラス成長と2%インフレを見込む
2024年02月22日
-
ビットコイン現物ETF、日本で組成可能か?
米SEC承認を受けて、日本で導入することの法制度上の是非を考察
2024年02月13日
-
第220回日本経済予測(改訂版)
賃上げの持続力と金融政策正常化の行方①自然利子率の引き上げ、②投資と実質賃金の好循環、を検証
2024年03月11日
-
日本経済見通し:2024年3月
24年の春闘賃上げ率5%超えを受け、日銀はマイナス金利政策を解除
2024年03月22日
-
2024年の日本経済見通し
緩やかな景気回復と金融政策の転換を見込むも海外経済リスクに注意
2023年12月21日
日本経済見通し:2024年2月
2025年度にかけて1%前後のプラス成長と2%インフレを見込む
2024年02月22日
ビットコイン現物ETF、日本で組成可能か?
米SEC承認を受けて、日本で導入することの法制度上の是非を考察
2024年02月13日
第220回日本経済予測(改訂版)
賃上げの持続力と金融政策正常化の行方①自然利子率の引き上げ、②投資と実質賃金の好循環、を検証
2024年03月11日
日本経済見通し:2024年3月
24年の春闘賃上げ率5%超えを受け、日銀はマイナス金利政策を解除
2024年03月22日
2024年の日本経済見通し
緩やかな景気回復と金融政策の転換を見込むも海外経済リスクに注意
2023年12月21日