2019年10月23日
サマリー
公的年金の実質的な受給額や退職金の減少、長寿化の進展などが見込まれる中、早い段階からの資産形成が重要である。しかし、若年層の資産形成には課題があり、他の年代に比べリスク性資産の保有には消極的である。
若年層では、低所得世帯や多額の住宅ローンを抱える世帯が増加しており、資産形成余力が減退していると思われる。投資についての姿勢を見ると、「まとまった資金がない」から投資をしない、「そもそも証券投資をする必要がない」と考えているなど、リスク性資産投資の阻害要因を抱えている。
このような阻害要因を解消し得る若年層の資産形成促進策として、つみたてNISAや確定拠出年金(DC)などの制度があるが、普及度は現段階では高くない。普及度向上のため、DCの中途払い出しを可能とすることも一案だろう。
おつり投資、スマホ証券、ロボアドなどのテクノロジーを用いたサービスは利便性や分かりやすさの観点から若年層の資産形成促進につながっている側面はあろう。ただし、改善すべき点として、テクノロジーを用いたサービスのビジネスとしての収益性向上のためのより広い世代の顧客対象化や、テクノロジーと人との組み合わせの最適化などが考えられる。
大和総研調査本部が長年にわたる知識と経験の蓄積を結集し、的確な現状分析に基づき、将来展望を踏まえた政策提言を積極的に発信していくとのコンセプトのもと、2011年1月に創刊いたしました。
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