そこで、投資を消費によって代替し、ある程度の成長率を維持していくことができるのかどうかが、中国経済が中長期的にリバランスを達成し、持続可能な成長軌道に乗るための鍵となってくる。中国で個人の貯蓄率が高く消費が伸びてこなかった原因としては、様々指摘されているが(2011年8月8日アジアンインサイト)、大きな要因は、ひとつには、賃金所得の伸び悩み(その結果としての所得格差の拡大)、ふたつ目は、政府による教育・社会保障等の公共支出が不十分で、将来への不安から貯蓄が増加する傾向にあったことである。しかし何れについても、近年変化の兆しが見られる。
近隣アジア諸国への影響
それでは、中国経済のリバランスが、日本も含め、近隣アジア諸国に与えるインプリケーションをどのように考えるべきか。第一は、財市場としての中国との関わりである。総じて近隣アジア諸国、なかでも日韓にとっては、これまで、資本財市場としての中国の意味が大きかった。中国経済が投資から消費を中心とした内需主導型の成長パターンに転換していくと、当然のことながら、消費財市場としての中国の意味が増してくる。現状、ASEAN諸国が相対的に消費財輸出のウェイトが大きく、中国の成長パターンの転換はこれら諸国に有利に働くことになろう。他方で、富裕層の増加に伴い、奢侈品や差別化を図った商品への需要もそれなりに増えてくることが予想され、そうなれば、日本にとってもビジネスチャンスが広がる。ただいずれにしても、中国の消費財の輸入が世界の消費財輸入に占めるシェアはなお2.5%弱と小さく、中国の消費は増えてもその多くは国内消費財に向かっている。その背景には、外国業者が中国の複雑な小売流通システムに入りこみにくいこと、外国製品が必ずしも中国の消費者の嗜好に応えられていないこと、さらには、国内業者との競争上の問題等があると類推される。成長パターンの転換で中国の消費が伸びても、それが自動的に近隣諸国の対中消費輸出の増加につながるとは限らない。
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