サマリー
◆日本企業間におけるM&Aにおいて、金額ベースではコロナ禍の影響で減少へ転じている一方で、件数ベースでは増加傾向が継続しており、結果として1件当たり金額は大幅に縮小した。この背景には、経営難に陥った中堅・中小をはじめとする企業の再建や業務提携等を通じた救済策の1つとしてM&Aが活用され、小規模ないし中規模の案件が数多く組成されたことが一因として考えられる。
◆日本企業によるクロスボーダーM&Aに関して、Out-In案件では金額ベース・件数ベースともにコロナ禍以前またはそれ以上の水準に回復しているが、In-Out案件では一定水準を維持している件数ベースに対して、金額ベースの戻りは鈍くなっている。
主要国・地域別に見ると、In-Out案件・Out-In案件ともに米国企業がトップシェアを誇っている。In-Out案件ではスタートアップ企業が集積するシンガポールでのディールを中心にASEAN企業が、Out-In案件では一定のディール件数を組成している中国企業が、それぞれ件数ベースで米国企業に次ぐ割合を占めている。
◆金融政策の引き締め転換による資金調達の難化や企業価値算定の前提要素となる資本市場の環境変化など、案件遂行に当たっての障壁は決して少なくない。しかし、M&Aにおいて当面の主なテーマと見られている、デジタルトランスフォーメーションによるビジネスの変革、市場シェアの拡大、事業の再構築及び再生は、日本企業が今まさに突き付けられている課題でもあり、日本企業によるM&Aへの取り組みは一層増していくと予想される。
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