価値創造ストーリーで魅せる人的資本開示

人的資本レポート調査からの考察

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  • マネジメントコンサルティング部 コンサルタント 梅宮 由紀

サマリー

◆近年、統合報告書や人的資本レポートにおいて、人材戦略や人事施策を企業価値と結び付け、ストーリーとして伝える企業が増えている。本稿では、人的資本の取り組みを体系的に提示している企業の特徴について整理した。

◆人的資本の価値創造プロセスの開示傾向として、インプット・アウトプット・アウトカムによる構成が挙げられる。アウトプットには共通性の高いKPIが多く用いられる一方、アウトカムには各社の戦略やビジョンを反映した多様な指標が設定されている。また、アウトカムとアウトプットの関係性や位置付けについては、今後さらに整理・明確化していく余地があることがうかがわれた。

◆人的資本ROIは、人的資本への投資効果を定量的に把握する指標として活用が進んでいる。算定方法や前提条件によって数値の解釈が異なり得るため、価値創造プロセスにおける位置付けを意識することが肝要である。人的資本への取り組みと企業価値との関係を説明する一つの手がかりとして、今後の活用が期待される。

◆価値創造プロセスの枠組みを活用して人事戦略と経営戦略を結び付け、企業価値向上に向けたストーリーを描くことは、投資家やステークホルダーへの説明力を高め、戦略の一貫性確保やPDCAの強化につながる。企業は、人的資本を単なる情報開示の対象としてではなく、企業価値向上を支える戦略の構成要素として位置付けていくことが重要である。

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