中小企業は退職金制度を導入すべきか

民間企業における退職給付制度の状況等に関する調査研究報告書より

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  • データアナリティクス部 主任コンサルタント 岡田 陽一

サマリー

◆令和5年度から令和6年度にかけて、退職金制度導入率は約95%から約88%へと低下する結果となった。これは、従業員規模の小さい退職金制度未導入企業からの回答が、前年に比べて増加したことが要因である。退職金制度の有無は人材の定着や採用競争力に影響を及ぼす重要な要素の一つであり、制度が整備されている企業ほど求職者からの評価が高く、優秀人材の確保につながる可能性がある。

◆退職金制度未導入の主な理由としては「従業員の在職期間が短いこと」や「退職金相当分を月給・賞与に上乗せしていること」が挙げられる。また、未導入企業ほど離職率が高い傾向がみられる。ただし、制度未導入と従業員の離職には相関関係が認められるものの、両者の因果関係については明確ではない点に留意が必要である。

◆中小企業が退職金制度を導入・維持するにあたっては、財政的負担や資金繰りリスクといった課題が存在する。退職金制度の有無は中小企業の人材戦略や経営の安定性に直結する重要な要素である。そのため、各社は自社の経営状況や人材戦略を踏まえ、最適な方針を選択することが求められる。中小企業退職金共済制度の活用、給付条件の工夫等を通じて、企業・従業員双方にメリットのある制度設計とすることが重要である。

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