女性管理職を起点とした人的資本経営の戦略的意義を考える

~多様性による企業価値への効果と期待~

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  • マネジメントコンサルティング部 主任コンサルタント 芦田 栄一郎

サマリー

◆日本企業ではダイバーシティ経営が着実に浸透してきている。多様な人材や価値観を尊重し活かすことで、企業の持続的成長と価値向上を目指す取り組みが拡大している。女性管理職の登用は、その中の重要な経営テーマの一つに位置づけられている。

◆2023年から上場企業に対して人的資本に係る項目の開示が義務化され、ESG投資の観点からも関心の高いテーマとなっている。女性管理職を含む非財務情報は、投資家だけでなくステークホルダーも関心が高く、企業は開示義務を果たすだけでなく、戦略的な姿勢やストーリーを示すことが期待されている。

◆女性管理職比率と企業業績の関係については、複数の研究で正の相関可能性が示唆されている。女性管理職登用率が15%を超えるとROAが向上する傾向があるとする調査報告もみられた。

◆女性管理職比率の向上は、業績改善・企業価値向上の即効薬ではない。一方で、経営戦略や合理的な意思決定、イノベーション、人材確保、ESG対応、ブランド価値など多面的な側面を強化し、企業の持続的成長に大きく寄与する可能性がある。

◆「比率の義務化は能力主義の原則を揺るがすおそれがある」「管理職だけが活躍の場ではない」といった反対意見もあるが、戦略的な登用は企業価値を高める有力な手段ともみられる。女性活躍が進まない企業は、投資家評価の低下や人材確保の難航というリスクを抱えることになる。日本企業における女性管理職比率の向上は競争力強化と人的資本経営の推進に不可欠であり、各社が真摯に取り組むことが持続的成長の鍵となろう。

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