2025年01月29日
サマリー
◆2024年4月に設立された金融経済教育推進機構(「J-FLEC」)は、同年8月より「J-FLEC認定アドバイザー」(認定アドバイザー)の認定申請の受付を開始し、本格的な活動に入った。
◆認定アドバイザー数は順調に増えており、同年12月9日時点で1,013名と1,000名を超えたことが公表された。しかし、J-FLECウェブサイトには認定アドバイザーのプロフィール情報が掲載されているが、内容にばらつきが見られる。今後、認定アドバイザーが社会的な認知度を高めて、国民の金融リテラシー及びファイナンシャル・ウェルビーイングの向上を推進する戦力となるためには、「認定アドバイザーの資格を活用した魅力ある事業モデルの開発」と、「個々の認定アドバイザーと相談者の間のマッチングの仕組み」が必要であると思われる。
◆本稿では上述の動きを進めていく観点で、職域向けのアドバイスを中心とした事業モデル案を二つ示した。すなわち、主に大企業を対象とした「職域ファイナンシャル・アドバイザー」と、主に地方の中小企業(及び一般世帯)を対象とした「地域ファイナンシャル・アドバイザー」である。
◆認定アドバイザーによる職域向けの金融経済教育、資産形成等の支援は、J-FLECのミッションの実現にとって有意義な事業になるとともに、職域の事業主である企業にとっても従業員のファイナンシャル・ウェルビーイングの向上、それを通じた生産性・エンゲージメントの増進、さらに企業価値の向上へと展開するストーリーを描ける施策になることを期待する。
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