2025年6月株主総会に向けた論点整理

活発なアクティビスト投資家。株主提案数は過去最多を更新

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  • コーポレート・アドバイザリー部 主任コンサルタント 吉川 英徳
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サマリー

◆2025年6月株主総会シーズンが始まろうとしている。2025年6月株主総会におけるポイントとしては、(1)機関投資家による議決権行使基準厳格化への対応、(2)アクティビスト投資家等による株主提案への対応、(3)事業会社等による同意なき買収対応、が挙げられる。

◆日本企業の株主構成において、近年、政策保有株式の縮減に伴う安定株主が減少する一方で、機関投資家株主比率が高まっている。結果、株主総会においては、機関投資家の議決権行使の影響が強くなっている。そうした中、最近では、機関投資家が取締役選任議案の賛否判断に企業価値(株価基準等)を組み込む動きが出てきており、株主総会が「企業価値を踏まえた経営評価の場」として、エクイティガバナンスの根幹を担っている。

◆また、本年株主総会においても、アクティビスト投資家等による株主提案活動は活発である。昨年来の状況として、昨年7月~本年5月株主総会においては過去最高水準(30社/前年23社)となっている。また、6月株主総会においても5月26日時点ですでに93社(他1社取下げ)において株主提案が行われており、過去最多となっている。

◆加えて、一部の上場企業においては、事業会社による重要提案行為目的の株式取得がみられ、経営陣と株主との利害の対立が表面化するケースも目立ってきている。その結果、「企業価値を踏まえた経営評価の場」だけではなく、一部の企業においては同意なき買収等により「(買収防衛策の審議を含めて)経営権の在り方を審議する場」に変化しつつある。本格的なエクイティガバナンスの時代の到来により、株主総会に向けたSR活動の重要性が増しており、上場企業によっては大株主であるアクティビスト投資家との協調路線も視野に入れるなど、従来の「予定調和的な儀式の場としての株主総会」は終わりつつある。

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