2026年03月31日
サマリー
◆日本企業にも資本コストや株価を意識した経営が定着しつつあるが、資本効率の国際比較を行うと日本企業の平均的なROEは依然として低水準にとどまっている。
◆過去10年間で日本企業の利益は倍増したが、平均ROEは7.7%から9.3%へと1.6%ポイント上昇しただけである。高水準の内部留保によってROEの分母である株主資本等も大きく増加したことが主因である。仮に、過去10年間における日本企業の株主資本等の増加率が米国企業並みに低かったとしたら、2024年度の平均ROEは14.2%になっていたことになる。
◆日本企業が資本効率を重視していない要因として、長らく株式持ち合い構造によって株主やエクイティ投資家からのガバナンスが機能してこなかったことが挙げられる。日本企業に資本効率向上を促すためには、ROEやTSR(株主総利回り)などエクイティ投資家目線での評価指標がより強く意識されるようになることが望ましい。
◆今回大和総研では、ROEとTSRをベースとしてグローバル基準で企業を評価する「DIR資本効率格付け」を試算した。この新たな指標は、日米欧約1,600社を母数に、過去一定期間のROEとTSRの実績値を修正偏差値でスコア化し、将来性を考慮した形で一部資本政策の評価を加味して算出している。
◆分析対象とした企業群のROE中央値は約13%であり、日本企業の平均値および中央値を大きく上回っているため、日本企業の資本効率格付けは欧米企業から劣後する結果となった。
◆日本企業の外国人株主比率は増加しており、グローバル目線での経営が期待されている。加えて、アクティビスト投資家や海外企業等による同意なき買収リスクに晒されている。グローバル目線での資本規律が求められている中、日本企業が財務安全性を示す債券格付けと同等に資本効率格付けも意識し、財務安全性と資本効率のバランスの取れた財務運営を行うことを期待したい。
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