サマリー
◆日本企業のROEは国際比較にみるとかなり低い。東証が昨年7月に公表した資料によると、ROE15%以上の企業の割合は、日本が19%であるのに対して、米国が61%、欧州が49%にのぼっている。つまり欧米の主要企業の過半が、日本で高ROEといわれるゾーンに属しているのである。
◆米国を代表する企業のROEは30%が一般的な水準だ。ところが、不思議なことにROEを経営目標に掲げている米国企業はほとんどない。企業価値を高めるために、その構成要素であるキャッシュフローの最大化と資本構成の最適化を意識している結果、ROEが高まっているのである。
◆日本では近年ROEを経営目標に取り入れる企業が増加している。しかし、その目標水準は低く、今年中期経営計画において目標ROEを発表した企業の約30%が、直近実績より低い目標設定するという不思議な状況にある。
◆この日米の違いは何に起因するのだろうか。それは「株主目線の経営」か、銀行員的な「債権者目線の経営」かといった経営マインドの違いと解釈することができる。
◆「債権者目線の経営」においては、イノベーションの創出や将来の競争力向上に向けたリスクテイクは選好されないし、資本効率の改善より財務安全性の向上にのみ関心が向かう。このような日本的な経営マインドが、日本企業の価値創造を阻害してきた可能性が高い。
◆今後、日本企業が価値創造・企業価値向上に取り組むためには、シンプルにROEの目標水準を高めることが有効な手段になると考えられる。
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