2016年10月19日
サマリー
◆2016年10月12日、バーゼル銀行監督委員会(BCBS)は、最終規則文書「TLAC保有」(TLAC保有最終規則文書)を公表している。
◆“TLAC”とは、グローバルなシステム上重要な銀行(G-SIBs)の総損失吸収力(Total Loss-Absorbing Capacity)をいう。TLACについては、2015年11月に、金融安定理事会(FSB)が、タームシートを含む最終的な基準(TLACタームシート)を公表している。
◆TLAC保有最終規則文書の目的は、TLACタームシートが規定する「TLAC保有のダブルギアリング規制」の明確化である。TLAC保有最終規則文書は、このダブルギアリング規制を、バーゼル規制資本への出資にとどまらず、TLAC保有にまで拡張している。
◆TLAC保有最終規則文書の適用対象は、バーゼル規制と同様に、「国際統一基準行」である。また、TLAC保有最終規則文書のいう「TLAC保有」は、原則として、バーゼル規制資本に該当しないTLACへの出資のみを指す。
◆TLAC保有最終規則文書は、議決権10%以下保有先が発行するTLACの保有について、自己の普通株式等Tier 1(CET 1)の5%以内であれば、ダブルギアリング規制の対象としていない。
◆CET 1の5%超相当分のTLAC保有があった場合、その分は、続いて、バーゼルⅢで導入された、「CET 1の10%」という閾値(スレッショルド)を超えるか否かの算出にカウントされる。すなわち、CET 1の5%超相当分のTLAC保有を、バーゼル規制資本(CET 1、その他Tier 1(AT1)、Tier 2)の保有と合わせて、CET 1の10%超相当分があった場合、その分を、対応するバーゼル規制資本から控除する(コレスポンディング・アプローチ)。この場合、TLAC保有の分は、Tier 2から控除する。
◆なお、議決権10%以下保有先が発行するTLACの保有のうち、ダブルギアリング規制の対象とならない部分のリスク・ウェイトは変更されていない。
◆TLAC保有最終規則文書は、TLACタームシートと同様に、2019年1月から適用される。
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