2019年10月18日
サマリー
◆2019年10月の大和地域AI(地域愛)インデックスは、5地域で改善、4地域で悪化と強弱入り混じる結果であった。内需の好転によって「北海道」「東北」「関東甲信越」等の東日本でやや改善する一方、米中貿易摩擦の影響を受けて「中国」を中心に弱めの地域も見られた。
◆分野別に見ると、消費関連は「四国」等で改善した。これは消費税率引き上げ前の駆け込み需要による影響と考えられる。前回増税時よりもその影響は総じて小さいと指摘する地域が多いが、一部の地域ではやや強めに出ている。企業関連では、「北海道」で食料品の輸出・生産等、「関東甲信越」ではん用・生産用・業務用機械の生産、「東北」では企業マインドが改善した。一方、「中国」は自動車や化学等で前回より生産は弱めの数字であり、「近畿」の生産も生産用機械や電子部品・デバイスが引き続き弱めである。中国の自動車関連や韓国の半導体関連の受注減少が影響している模様である。
◆先行きに関しては、消費税率引き上げ後の反動減や米中貿易摩擦の長期化による悲観的な見方は残るものの、2019年末以降の地域経済は引き続き堅調な内需が下支えして底堅く推移すると思われる。また、日韓問題等による訪日外国人観光客の減少を懸念する声が一部地域で見られるが、総じてその影響は小さい模様である。さらに欧米中央銀行による金融緩和、日米貿易協定での自動車に対する高関税回避、米国の対中追加関税引き上げの見送り等もあり、今後、企業の過度な悲観論は後退していく可能性がある。ただし、中国を中心とするアジア経済の影響を受けやすい「中国」「近畿」では、米中貿易摩擦の長期化の影響等による下振れリスクがある。
◆一方の内需では、2019年10月実施の消費税率引き上げによる需要の反動減は、各種施策の実施で前回の増税時よりも限定的と見込まれる。さらに「北海道」をはじめ、国土強靱化政策等で公共投資の増加を指摘する地域も多く、今後の内需は堅調に推移すると思われる。ただし、今回の台風15号・19号による被害があった「関東甲信越」「東北」等の地域については、今後その影響を見極める必要があると考えられる。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
同じカテゴリの最新レポート
-
「中国」などで企業マインドが悪化~消費は堅調だが、先行き高まる不透明感
2025年4月 大和地域AI(地域愛)インデックス
2025年04月09日
-
緩やかな回復基調、地域でばらつきも~消費者の節約志向や投資意欲の変化を注視
2025年1月 大和地域AI(地域愛)インデックス
2025年01月14日
-
「東海」「四国」など7地域で改善~石破新政権や海外情勢の動向も注視
2024年10月 大和地域AI(地域愛)インデックス
2024年10月09日
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
「相互関税」による日本の実質GDPへの影響は最大で▲1.8%
日本に対する相互関税率は24%と想定外に高い水準
2025年04月03日
-
「相互関税」を受け、日米欧中の経済見通しを下方修正
2025年の実質GDP成長率見通しを0.4~0.6%pt引き下げ
2025年04月04日
-
米国による25%の自動車関税引き上げが日本経済に与える影響
日本の実質GDPを0.36%押し下げる可能性
2025年03月27日
-
2025年の日本経済見通し
1%台半ばのプラス成長を見込むも「トランプ2.0」で不確実性大きい
2024年12月20日
-
日本経済見通し:2025年3月
トランプ関税で不確実性高まる中、25年の春闘賃上げ率は前年超えへ
2025年03月24日
「相互関税」による日本の実質GDPへの影響は最大で▲1.8%
日本に対する相互関税率は24%と想定外に高い水準
2025年04月03日
「相互関税」を受け、日米欧中の経済見通しを下方修正
2025年の実質GDP成長率見通しを0.4~0.6%pt引き下げ
2025年04月04日
米国による25%の自動車関税引き上げが日本経済に与える影響
日本の実質GDPを0.36%押し下げる可能性
2025年03月27日
2025年の日本経済見通し
1%台半ばのプラス成長を見込むも「トランプ2.0」で不確実性大きい
2024年12月20日
日本経済見通し:2025年3月
トランプ関税で不確実性高まる中、25年の春闘賃上げ率は前年超えへ
2025年03月24日