サマリー
◆地方創生10年をふりかえると、人口水準を維持できたケースは大都市に多く、小規模自治体でも大都市圏に属していることが多い。都市圏に属さない小規模自治体の8割弱は人口減少に歯止めがかからず、その多くが「消滅可能性都市」と重なる。人口の社会動態は所得水準と関係があり、所得水準が相対的に低い地域ほど人口減少ペースが速い傾向がうかがえる。ただし、実績は少ないが、都市圏外の小規模自治体でも地域資源に恵まれ、的を射た戦略を構築できた地域で、所得水準を保ち人口減少にある程度の歯止めをかけた例はある。
◆人口減少は雇用の減少と重なるが、人口をある程度維持できた地域は雇用も維持している。中でも都市圏に属さない小規模自治体の就業構成をみると、人口5~10万人クラスの小都市では製造業、5,000人未満の小町村では農林漁業や宿泊・飲食サービス等の観光関連業の構成比が高かった。人口減少ペースが速いケースでは建設業や医療福祉の構成比が高い傾向がみられた。
◆情報重視への産業構造の変化が大都市に有利なことを踏まえ、都市圏外の小規模自治体の競争優位を考えると、人口減に歯止めをかける所得向上戦略は自ずと限られる。観光で集客し、地域資源に紐づけて開発した新商品を、ストーリーやライフスタイルと抱き合わせて販売する戦略である。宿泊・飲食サービス業を新商品・新サービスの体験型アンテナショップと位置付け、観光振興を組み込んだエコシステム(連携を伴う産業体系)を構築することが期待される。
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