サマリー
◆津波被害が甚大だった三陸沿岸、北海道の奥尻島では、防潮堤の築堤や居住区域の高台移転など都市インフラの復興が実施された。事業開始にあわせて建設業の就業者が増加し、復興特需の収束とともに減少した。地場産業の農林漁業やその加工業にかかる施設も復旧したが、元々の高齢化や後継者難もあって就業者数は発災前の水準に戻っていない。就業者数の低迷が非就業者を含む住民の流出ひいては空洞化をもたらしている。結果的に、地域にもよるが復興事業で整備した都市インフラの過剰感が否めない。
◆先般の地震で大きな被害を被った能登半島は、農林漁業のウェイトが高いこと、過疎化や高齢化が進行している点で三陸沿岸や奥尻島と共通点を持つ。前例を踏まえれば、地場産業の流出予防策がなにより重要だ。生業が無くなれば産地に居住する必然性も無い。復興方針としては、就業構造の変化を見据え集住を含む縮小均衡を図るか、地場産業の再生・拡充に着眼し、人口見込みを踏まえた都市インフラの充実強化を図るかの選択が求められる。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
執筆者のおすすめレポート
同じカテゴリの最新レポート
-
持続可能な社会インフラに向けて 水道広域化のスケールメリットの検証と課題
足下のコスト削減よりむしろ技術基盤の強化
2025年04月22日
-
水道管路の性能劣化の現状とその対策
都市部の経年化よりむしろ低密度・人口減地域の投資財源不足が課題
2025年03月14日
-
地方創生10年 職種構成に着眼した東京一極集中の要因と対策
どうして若者は東京を目指すのか
2024年12月26日
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
2025年度の最低賃金は1,100円超へ
6%程度の引き上げが目安か/欧州型目標の扱いや地方での議論も注目
2025年07月16日
-
2025年ジャクソンホール会議の注目点は?
①利下げ再開の可能性示唆、②金融政策枠組みの見直し
2025年08月20日
-
既に始まった生成AIによる仕事の地殻変動
静かに進む、ホワイトカラー雇用の構造変化
2025年08月04日
-
米雇用者数の下方修正をいかに解釈するか
2025年7月米雇用統計:素直に雇用環境の悪化を警戒すべき
2025年08月04日
-
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
2025年度の最低賃金は1,100円超へ
6%程度の引き上げが目安か/欧州型目標の扱いや地方での議論も注目
2025年07月16日
2025年ジャクソンホール会議の注目点は?
①利下げ再開の可能性示唆、②金融政策枠組みの見直し
2025年08月20日
既に始まった生成AIによる仕事の地殻変動
静かに進む、ホワイトカラー雇用の構造変化
2025年08月04日
米雇用者数の下方修正をいかに解釈するか
2025年7月米雇用統計:素直に雇用環境の悪化を警戒すべき
2025年08月04日
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日