サマリー
◆地方の貸出金残高について、わが国の貸出金全体の動向と都道府県別シェアに分けて考察する。わが国全体の貸出金残高は1990年代以降伸び悩んでいる。企業の資本蓄積が進み、資金調達における借入金の割合が小さくなってきていることが背景にある。一方、預金残高は貸出金の伸びが止まって以降も緩やかながら増加を続けており、90年代前半まで8割水準だった預金取扱金融機関の預貸率だが、最近は50%強の水準で推移している。運用資産の内訳をみると、資産全体に占める貸出金残高の割合が減る代わりに国債・地方債等が拡大している。
◆貸出金残高の都道府県別シェアを見ると、貸出金残高は東京に集中していることがうかがえる。貸出金残高の都道府県別シェアは、生産年齢人口よりむしろ、当該都道府県に本社が所在する事業所の総従業者数との相関が強い。
◆貸出金が東京に集中する一方、資金が金融機関等を経由して最終的に行き着く先のひとつである固定資本ストックは全国に遍在しており、人口1人当たりで見れば地方のほうが大きい。つまり資金使途は借入需要ほどには偏っていない。このことを踏まえ、各地方の貸出金を増やすとすれば、地元に本社機能を誘致し育成すること、公共施設等を民営化し、民営化した公共施設に直接融資することなど、東京を経由せず、地元の預金を地元の固定資本ストックに直接紐づけする取り組みが有効と考えられる。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
執筆者のおすすめレポート
-
どうして地域金融機関の再編が進まないのか
預金金融機関の行動原理と地方創生の課題
2014年12月04日
-
平均利潤率の低下と政府債務の膨張の先にある官民連携(PPP/PFI)戦略の必然性
民間主体の公共インフラ整備に必要なリスク分担と信用補完策
2014年05月29日
同じカテゴリの最新レポート
-
最高路線価に読む立地の収益力
大都市圏への集中と、商業拠点から観光拠点への主役交代の兆し
2026年07月23日
-
資金繰り支援から企業価値向上支援へ
地域金融機関に求められる企業支援の在り方
2026年07月21日
-
学校施設の廃止後の課題
廃校施設活用状況実態調査の分析
2026年06月30日
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
26年度最低賃金改定のポイント①
高市政権はより緩慢な引上げを容認/改定内容への説明責任が焦点
2026年07月09日
-
中国経済見通し:成長率目標に早くも黄信号
12.5%追加関税の影響は限定的だが、内需が急減速
2026年07月28日
-
令和9年度介護報酬改定に向けた注目点
改革工程に掲げられた重要論点の具体化が求められる
2026年06月29日
-
26年度最低賃金改定のポイント②
全国加重平均は1,160円台(4%前後の引き上げ)に着地か
2026年07月21日
-
骨太方針のポイント① ~危機管理投資・成長投資で高成長を実現できるか
米国を上回る生産性向上ペースが必要で成長戦略の進捗管理も課題
2026年07月13日
26年度最低賃金改定のポイント①
高市政権はより緩慢な引上げを容認/改定内容への説明責任が焦点
2026年07月09日
中国経済見通し:成長率目標に早くも黄信号
12.5%追加関税の影響は限定的だが、内需が急減速
2026年07月28日
令和9年度介護報酬改定に向けた注目点
改革工程に掲げられた重要論点の具体化が求められる
2026年06月29日
26年度最低賃金改定のポイント②
全国加重平均は1,160円台(4%前後の引き上げ)に着地か
2026年07月21日
骨太方針のポイント① ~危機管理投資・成長投資で高成長を実現できるか
米国を上回る生産性向上ペースが必要で成長戦略の進捗管理も課題
2026年07月13日

