サマリー
◆地方自治体の歳出総額は平成12年度以降、約10年間にわたって減少傾向を続けてきた。しかし、そのうち、一般財源等を財源とした歳出額は増加傾向であった。
◆一方で、一般財源等の歳入額はデフレ傾向の定着により地方税を中心に鈍化し、歳出額との差額は、特定財源からの振替えによって支えられている。自治体の裁量による振替えシェアは低下傾向にあり、その要因には、特別会計からの繰入金、財産収入、による歳入額の減少がある。
◆一般財源等の歳入額は、経常的歳入が減少する一方で、臨時的歳入が増加傾向にある。自治体において、一般財源等の歳入が臨時的なものに依存する傾向が強まっているとすれば、健全とはいえない。
◆自治体の財政健全化のためには、地方債の起債抑制や、消費税による増税が有効かもしれないが、各自治体における一般財源等の財源積み増し努力、例えば、公営事業の黒字化による特別会計から一般会計への繰入金の増加や、財産収入の増加なども重要であろう。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
執筆者のおすすめレポート
-
一般財源
2013年10月24日
-
地方税の税収構造と景気変動
景気拡大が地方に拡がるか、財政面では個人所得の増加がポイント
2013年05月20日
-
公債費負担からみる自治体財政の健全性
公債費負担額は逓減。負担感は一般財源等を財源とした歳出動向に依存。
2013年09月04日
同じカテゴリの最新レポート
-
持続可能な社会インフラに向けて 水道広域化のスケールメリットの検証と課題
足下のコスト削減よりむしろ技術基盤の強化
2025年04月22日
-
水道管路の性能劣化の現状とその対策
都市部の経年化よりむしろ低密度・人口減地域の投資財源不足が課題
2025年03月14日
-
地方創生10年 職種構成に着眼した東京一極集中の要因と対策
どうして若者は東京を目指すのか
2024年12月26日
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
日本経済見通し:2025年4月
足元の「トランプ関税」の動きを踏まえ、実質GDP見通しなどを改訂
2025年04月23日
-
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
-
信用リスク・アセットの算出手法の見直し(確定版)
国際行等は24年3月期、内部モデルを用いない国内行は25年3月期から適用
2022年07月04日
-
「反DEI」にいかに立ち向かうか
米国における「DEIバックラッシュ」の展開と日本企業への示唆
2025年05月13日
-
中国:関税115%引き下げ、後は厳しい交渉へ
追加関税による実質GDP押し下げ幅は2.91%→1.10%に縮小
2025年05月13日
日本経済見通し:2025年4月
足元の「トランプ関税」の動きを踏まえ、実質GDP見通しなどを改訂
2025年04月23日
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
信用リスク・アセットの算出手法の見直し(確定版)
国際行等は24年3月期、内部モデルを用いない国内行は25年3月期から適用
2022年07月04日
「反DEI」にいかに立ち向かうか
米国における「DEIバックラッシュ」の展開と日本企業への示唆
2025年05月13日
中国:関税115%引き下げ、後は厳しい交渉へ
追加関税による実質GDP押し下げ幅は2.91%→1.10%に縮小
2025年05月13日