地方税の税収構造と景気変動
景気拡大が地方に拡がるか、財政面では個人所得の増加がポイント
サマリー
◆平成25年度の名目GDPが前年度比約2.7%増加するとの政府経済見通しを受けて、地方財政計画において地方税収は前年度比約1.1%増収するとの見通しが出された。個人住民税の寄与度が高いことから、地方税収の増加には個人所得の増加が実現するかどうかがポイントとなる。
◆過年度において、地方税収は名目GDPの変動以上に増減し、特に景気拡大時には政府見込みを超えて増収となる傾向がある。平成25年度においても、政府の見込み以上の増収が期待できることになるであろう。
◆地方景気は平成24年度末時点において全国的に緩やかな改善傾向にあるものの、個人は住宅投資を除けば改善が鈍い傾向がみられる。
◆平成23年度以降、地方税収に占める法人所得課税の比重が低くなっており、平成25年度以降、さらにその傾向が強まると予想される。仮に企業所得が全国的に拡大に向かったとしても、個人所得の拡大が伴わなければ、地方税収の拡大は見込みにくいものとなる。地方税収が今後も安定的な税収を維持していけるかどうかは、個人所得の増加にかかっていると言えよう。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
執筆者のおすすめレポート
関連のレポート・コラム
最新のレポート・コラム
-
2022年05月25日
肥大化する業務
その業務は利益に貢献しているのか
-
2022年05月24日
欧州経済見通し まとわりつく負のオーラ
ウクライナ侵攻の長期化によって、不透明さを払拭できず
-
2022年05月24日
日本経済見通し:2022年5月
経済見通しを引下げ/サービス消費等の「伸びしろ」が景気を下支え
-
2022年05月24日
中国:ゼロコロナ政策下の中国経済の行方
年後半は明確に回復も22年は4.5%程度の実質成長にとどまると予想
-
2022年05月25日
「制度」と「執行」の狭間にある闇
よく読まれているリサーチレポート
-
2022年03月22日
日本経済見通し:2022年3月
ウクライナ情勢の緊迫化による日本・主要国経済への影響
-
2022年01月24日
円安は日本経済にとって「プラス」なのか「マイナス」なのか?
プラスの効果をもたらすが、以前に比べ効果は縮小
-
2022年03月23日
ロシアのウクライナ侵攻で一気に不透明感が増した世界経済
-
2022年02月10日
ロシアによるウクライナ侵攻の裏側にあるもの
ゼレンスキー・ウクライナ大統領の誤算
-
2022年03月17日
FOMC 想定通り、0.25%ptの利上げを決定
ドットチャートは2022-24年にかけて、計10.5回分の利上げを予想