公債費負担からみる自治体財政の健全性

公債費負担額は逓減。負担感は一般財源等を財源とした歳出動向に依存。

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  • 亀井 亜希子

サマリー

◆本稿では、自治体財政の健全性を判断する上で、公債費要因に着目し、公債費負担比率と実質公債費比率の指標により分析を行った。


◆自治体の公債費の負担度合いは、平成11~21年度は、三位一体改革の一環として大規模な市町村合併が推進されたことに伴い、合併数の推移に応じて、負担が軽減する傾向がみられた。しかし、市町村合併が一巡し「地方公共団体の財政の健全化に関する法律」(健全化法)が施行された後の平成21~23年度においては、都市計・町村計では引き続き負担軽減の傾向にあるものの、都道府県計では負担増の傾向がみられている。


◆都道府県計・都市計・町村計ともに、平成13年度以前にみられる公債費負担比率の上昇は、公債費の負担額増加を主因としたものであったが、平成14年度以降は大きな増減は見られず、比率の増減は公債費以外の他の経費による歳出増減を主因とした相対的な変動である傾向が現れている。自治体における公債費の負担感は、公債費増減よりも、一般財源等を財源とする歳出動向に左右されているといえよう。


◆都道府県計は、平成23年度、公債費の負担の度合いが過去最高となっており、その後も上昇傾向を継続することとなるのか、経過が懸念される。現段階では健全化法で規定されている早期健全化基準には至らない水準にあるとはいえ、上昇傾向がみられる以上、何らかの対策が講じられることが望ましいであろう。

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