2019年12月11日
サマリー
◆わが国では、少なくとも約20社の企業が既に情報銀行の事業化・実証実験に取り組んでおり、その業種は広範囲にわたる。本稿ではそのうちいくつかの例を紹介する。
◆情報銀行事業への取り組みは進められているものの、課題はいくつか残っている。情報銀行に対してデータを提供・預託するための手間がかかる場合、個人が利用に積極的にならない可能性が考えられる。企業としては、本人の同意に基づいて安全にデータを管理するだけでなく、できる限り個人の手間を削減することが重要になってくるのかもしれない。
◆また、データの種類によっては、個人は提供に消極的になると考えられる。例えば、マイナンバー情報、生体情報、口座情報等の提供については不安を感じる個人の割合が高い。情報銀行として、どのような情報を扱うか、どうすれば個人の情報提供への抵抗感を緩和できるかを考える必要があろう。
◆情報銀行には、データの提供元と提供先、個人への対価、機能、取り扱うデータの種類、かかわる事業者の数などによって多様なビジネスモデルが考えられる。情報銀行事業を検討する場合は、情報銀行事業を行う目的に鑑みて最適なビジネスモデル(本人への対価や情報銀行が持つ機能など)は何かを考慮することが求められるのではないだろうか。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
執筆者のおすすめレポート
-
令和元年は「情報銀行元年」となるか
認定第一弾、指針ver2.0案が公表。情報銀行が今後期待されることは
2019年07月16日
-
「情報銀行」の事業化に向けた始動
事業者等の認定が開始する一方でデータの標準化等の課題は残る
2018年11月20日
同じカテゴリの最新レポート
-
若者の奨学金返済の不安をどう解消するか
給付奨学金の拡充、貸与奨学金は有利子から無利子への流れを加速
2025年05月09日
-
大介護時代における企業の両立支援
〜人的資本のテーマは「介護」にシフト〜『大和総研調査季報』2025年春季号(Vol.58)掲載
2025年04月24日
-
2025年度の健康経営の注目点
ISO 25554の発行を受け、PDCAの実施が一段と重視される
2024年12月24日
最新のレポート・コラム
-
消費データブック(2025/6/3号)
個社データ・業界統計・JCB消費NOWから消費動向を先取り
2025年06月03日
-
テキサス州による議決権行使助言業者規制
財務的利益以外の要素を考慮する助言である場合、その説明を求める
2025年06月03日
-
2025年1-3月期法人企業統計と2次QE予測
前年比で増収増益も製造業は不調/2次QEではGDPの下方修正を予想
2025年06月02日
-
李在明氏の「K-イニシアティブ」を解明する
大統領選で一歩リードしている李在明氏は、韓国経済と日韓関係をどう変えるのか
2025年06月02日
-
“大規模で美しい”軍事パレードはピーナッツか、それとも特大のプレゼントか
2025年06月04日
よく読まれているリサーチレポート
-
「相互関税」による日本の実質GDPへの影響は最大で▲1.8%
日本に対する相互関税率は24%と想定外に高い水準
2025年04月03日
-
「相互関税」を受け、日米欧中の経済見通しを下方修正
2025年の実質GDP成長率見通しを0.4~0.6%pt引き下げ
2025年04月04日
-
米国による25%の自動車関税引き上げが日本経済に与える影響
日本の実質GDPを0.36%押し下げる可能性
2025年03月27日
-
2025年の日本経済見通し
1%台半ばのプラス成長を見込むも「トランプ2.0」で不確実性大きい
2024年12月20日
-
日本経済見通し:2025年3月
トランプ関税で不確実性高まる中、25年の春闘賃上げ率は前年超えへ
2025年03月24日
「相互関税」による日本の実質GDPへの影響は最大で▲1.8%
日本に対する相互関税率は24%と想定外に高い水準
2025年04月03日
「相互関税」を受け、日米欧中の経済見通しを下方修正
2025年の実質GDP成長率見通しを0.4~0.6%pt引き下げ
2025年04月04日
米国による25%の自動車関税引き上げが日本経済に与える影響
日本の実質GDPを0.36%押し下げる可能性
2025年03月27日
2025年の日本経済見通し
1%台半ばのプラス成長を見込むも「トランプ2.0」で不確実性大きい
2024年12月20日
日本経済見通し:2025年3月
トランプ関税で不確実性高まる中、25年の春闘賃上げ率は前年超えへ
2025年03月24日