サマリー
◆グローバリゼーションの旗手であった欧米先進国において反グローバリゼーションの動きが相次いでいる。反グローバリゼーションの動きは、近年のポピュリストの台頭と関係づけて説明される傾向がある。
◆欧州のポピュリスト政党の得票率は2000年以降、大きく上昇し、2018年に22%となった。権威主義的ポピュリストの支持者は、移民やジェンダーといったダイバーシティへの許容度が低い傾向が見受けられ、相対的に学歴が低く、都市以外に居住する保守的な高齢男性が多いとされる。
◆ポピュリストは、選挙によって選出されることで当初の段階では正統性が担保されているものの、その後にその主張が過度に排他的になり、社会の多様性を否定することになれば、民主主義の根本を否定しかねない。また、自国中心主義が行き過ぎると、国際協調が著しく傷つき、戦後築いてきた平和な世界が失われる可能性がある。
◆民主主義を維持しながら、強くしなやかなグローバリゼーションを再構築していくためには、①自国の国益との見合いでグローバリゼーションの度合いをコントロールすること、②グローバル化の恩恵を目に見える形で人々に共有すること、③民主主義の弱体化を防ぎ、深化させていくことが考えられる。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
執筆者のおすすめレポート
-
グローバリゼーションの進展
各国・企業のグローバリゼーションに伴う利益の追求は続く
2018年09月04日
-
グローバリゼーションと所得格差
国内所得格差は拡大、国家間格差は縮小する見込み
2018年10月02日
関連のレポート・コラム
最新のレポート・コラム
-
米GDP 前期比年率+2.8%と加速
2024年4-6月期米GDP:内需主導での堅調さを維持
2024年07月26日
-
監査・ガバナンス強化へ回帰する英国
昨年撤回した監査強化方針を復活し、ガバナンス・コードも厳格化へ
2024年07月25日
-
女性がキャリアを築ける職場ほど、子どもを持ちやすい
健保組合ごとの被保険者・被扶養者の出生率と、その要因の多変量解析
2024年07月24日
-
GX経済移行債に期待されるインパクトレポーティング
~GXの理解醸成促進に向けて~『大和総研調査季報』2024年夏季号(Vol.55)掲載
2024年07月24日
-
盛り上がりに欠ける英国の政権交代
2024年07月26日
よく読まれているリサーチレポート
-
「国債買入減額+利上げ」だけで長期金利は2%超えか
シナリオ別に見た日銀の国債買入減額による長期金利への影響試算
2024年06月12日
-
信用リスク・アセットの算出手法の見直し(確定版)
国際行等は24年3月期、内部モデルを用いない国内行は25年3月期から適用
2022年07月04日
-
第221回日本経済予測(改訂版)
賃上げ・物価高の先にある経済の姿と課題は?①賃上げ効果、②貿易デジタル赤字、③トランプリスク、を検証
2024年06月10日
-
「事業性融資の推進等に関する法律案」概要
事業性に着目した企業価値担保権の創設
2024年05月30日
-
バーゼルⅢ最終化による自己資本比率への影響の試算
標準的手法採用行では、自己資本比率が1%pt程度低下する可能性
2024年02月02日
「国債買入減額+利上げ」だけで長期金利は2%超えか
シナリオ別に見た日銀の国債買入減額による長期金利への影響試算
2024年06月12日
信用リスク・アセットの算出手法の見直し(確定版)
国際行等は24年3月期、内部モデルを用いない国内行は25年3月期から適用
2022年07月04日
第221回日本経済予測(改訂版)
賃上げ・物価高の先にある経済の姿と課題は?①賃上げ効果、②貿易デジタル赤字、③トランプリスク、を検証
2024年06月10日
「事業性融資の推進等に関する法律案」概要
事業性に着目した企業価値担保権の創設
2024年05月30日
バーゼルⅢ最終化による自己資本比率への影響の試算
標準的手法採用行では、自己資本比率が1%pt程度低下する可能性
2024年02月02日