シェアリングエコノミーへの期待と課題

~日本経済の健全な成長に向けて~『大和総研調査季報』 2016年秋季号(Vol.24)掲載

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2016年12月01日

  • 経済調査部 市川 拓也

サマリー

スマートフォン等のインターネット関連機器の普及とともに、シェアリングエコノミーが広がりをみせている。家事代行から子守り、スキル、駐車場の貸し出しや車の相乗り、食事の提供など実に様々である。こうした動きを推進すべく政府は動いており、シェアリングエコノミー検討会議では自主規制や振興策が検討されている。


シェアリングエコノミーの中でも議論が先行しているのが「民泊」であり、既に旅館業法とは別枠で法整備がなされることになっている。シェアリングエコノミーが業法規制から外れる場合、安心・安全を崩す方向に作用しないのかとの懸念は残る。既存業者への十分な配慮、税制を含めた法令の順守についても対応が必要である。


政府の推進する超スマート社会は効率的で無駄のない社会であり、シェアリングエコノミーの観点からすれば常識的にはモノの消費量は減少方向に作用すると考えられる。しかし、消費者が新たに事業者として収入が得られるようになれば、国民生活レベルでの豊かさの向上は期待できる。いかに経済成長に寄与するか、という視点よりも、人々が日常生活で抱えている課題をいかに解決できるか、という視点で捉えていくことが重要と言えよう。


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