女性をとりまく社会保障制度と税制

~最大の課題は「130万円の壁」~『大和総研調査季報』 2013年新春号(Vol.9)掲載

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2013年03月01日

サマリー

労働力減少社会にもかかわらず、男女共同参画社会の実現が遅れている。就業を希望する女性が普通に働ける環境づくりから始める必要がある。

日本のような個人単位課税は、世帯単位課税と比較した場合、夫に扶養される無業の妻の就業阻害要因にはなりにくい仕組みである。他方、年金制度は原則個人単位だが、第3号被保険者制度は世帯単位の設計といえる。そして、社会保障制度には就業に伴い保険料負担が急増する「130万円の壁」がある。

本稿の試算によれば、年収130万円未満なら配偶者に対する就業抑制要因はない。だが、130万円以上で200万円程度までの年収では限界負担率が50%を超え、著しく就業抑制的な制度となっている。標準的なパート労働の時給だと週30時間前後で年収130万円以上となる。かといって週40時間まで就労しても年収200万円を超えられない辺りに、就業調整インセンティブが働きやすいと考えられる。

「社会保障と税の一体改革」は短時間労働者の社会保険適用について中途半端であり、第3号被保険者制度の改革論議は当初段階から先送りされた。「130万円の壁」を取り払う方法はいくつか考えられるが、いずれにしても、ある閾値を境に保険料負担等が急増する仕組みを早急に改めるべきだ。


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