サマリー
◆金融庁は、2025年8月29日に令和8年度税制改正要望(以下、要望)を公表した。NISAの一層の充実を図るための措置として主に、①こども支援の一環としての、つみたて投資枠における対象年齢等の見直し、②様々な資産運用ニーズに応えるための、対象商品の拡充等、③投資商品の入替をしやすくするための、非課税保有限度額の当年中の復活、が要望された。
◆こども支援措置としては、つみたて投資枠の対象年齢を引き下げるとしている。ジュニアNISAの創設・廃止の経緯を踏まえると、こども支援措置を創設した際には、利便性を確保することが普及のカギとなるだろう。
◆要望では、対象商品の拡充が示されたものの具体的な商品は明示されていない。要望と同日に公表された「NISAに関する有識者会議」の中間とりまとめを参照すると、より低リスクである債券型ファンドのつみたて投資枠への追加が想定される。
◆投資商品の入替をしやすくするため、要望では非課税保有限度額の当年中の復活が掲げられたが、年間投資限度額の当年中の復活は掲げられていない。したがって、要望が実現した場合、「前年末のNISA口座に係る簿価残高が1,440万円超となっている者が、年間買付額の360万円の範囲内で、売却した翌年を待たずに当年中に買付ができるようになる」と考えられる。
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