サマリー
◆本レポートでは、自由民主党・公明党の「令和4年度税制改正大綱」で掲げられた論点を踏まえ、金融所得課税を含む所得税の累進構造につき、税務統計をもとに可能な限り尺度を合わせて日米英独の4ヵ国を比較し、税負担の垂直的公平性の観点から日本の金融所得課税のあり方の妥当性につき検討した。
◆日米英独の4ヵ国のいずれも、下位から99.9%程度までの範囲では所得が多い者ほど税負担率が上昇するが、上位0.1%程度に限っては所得が多い者ほどかえって税負担率が低下する現象(日本でいう「1億円の壁」に相当する現象)が生じている。これは、いずれの国でも、高所得者ほど所得に占める金融所得の割合が高くなる傾向があり、かつ、金融所得の税率を通常の所得の税率より低く設定しているからである。
◆国内の所得格差が同程度の日英独を比較すると、上位0.1%程度の者(税負担率が低下している者)が負担している所得税額の国全体の所得税額に対するシェアは同程度だ。所得上位0.1%程度から税負担率が下がり始める現象は日英独で同程度存在し、日本だけが突出しているわけではない。英独との相対比較からは、日本の金融所得課税のあり方が税負担の垂直的公平性に大きな問題を及ぼしているわけではないことが分かる。
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