サマリー
◆スピンオフは「自社内の特定の事業部門又は子会社を切り出し、独立させる」組織再編である。スピンオフの実施によって、①経営の独立、②資本の独立、③上場の独立という3つの効果が期待できる。
◆パーシャルスピンオフとは、スピンオフのうち独立した企業の一部持分を元親会社(スピンオフ実施法人)に残す場合を指す。独立会社が元親会社の知財やノウハウ、ブランドを活用する場合などに利用しやすい等のメリットがある。
◆パーシャルスピンオフ税制は、税制適格となったパーシャルスピンオフについて、株式分配に係る譲渡損益やみなし配当を非課税とする措置であり、2023年度税制改正で創設され、2024年度税制改正で適用期限が延長された。税制適格となるには、元親会社が保有する完全子会社の株式が20%未満であることや事業再編計画の認定を受けることといった要件を満たすことが求められる。
◆2024年2月13日に、ソニーグループ株式会社による事業再編計画がパーシャルスピンオフに係る事業再編計画として初めて経済産業省に認定された。今後、パーシャルスピンオフの件数が増加することが期待される。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
執筆者のおすすめレポート
-
「事業性融資の推進等に関する法律案」概要
事業性に着目した企業価値担保権の創設
2024年05月30日
-
事業承継税制特例措置の申請期限延長
特例承継計画の提出期限が2年延長され、2026年3月31日に
2024年05月15日
-
外形標準課税の改正とその背景
減資や分社化・持株会社化に対応した制度に
2024年03月26日
同じカテゴリの最新レポート
-
日本維新の会が掲げる税制関連施策
所得税インフレ調整・給付付き税額控除の議論が加速する見込み
2025年10月28日
-
若年層の実質可処分所得の超長期推計
20~34歳未婚男女につき、1980~2024年の45年間を推計
2025年10月20日
-
働く低所得者の負担を軽減する「社会保険料還付付き税額控除」の提案
追加財政負担なしで課税最低限(年収の壁)178万円達成も可能
2025年10月10日


