2024年05月30日
サマリー
◆2024年3月15日に「事業性融資の推進等に関する法律案」が国会に提出された。本稿では、法案の内容及び法案によって創設される企業価値担保権の概要について解説する。
◆スタートアップ等への資金供給の観点から、不動産などの有形資産の担保や経営者保証を必要としない融資実務の必要性が指摘されてきた。金融審議会「事業性に着目した融資実務を支える制度のあり方等に関するワーキング・グループ」が設置され議論が行われ、新たな担保権の論点が整理された。
◆法案では、無形資産や将来キャッシュフローを含む「総財産」を担保とする企業価値担保権が創設される。企業価値担保権の担保権者となれるのは新たに創設される信託業の免許を受けた企業価値担保権信託会社のみである。
◆事業者や金融機関による企業価値担保権の利用を促進するため、認定事業性融資推進支援機関制度が導入される。加えて、事業性融資の促進のため、金融庁に事業性融資推進本部が設置される。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
執筆者のおすすめレポート
-
事業承継税制特例措置の申請期限延長
特例承継計画の提出期限が2年延長され、2026年3月31日に
2024年05月15日
-
外形標準課税の改正とその背景
減資や分社化・持株会社化に対応した制度に
2024年03月26日
-
2024年度税制改正解説-金融・証券税制
税制適格ストックオプション制度の拡充など
2024年02月26日
同じカテゴリの最新レポート
-
英国が非上場株式の流通市場を創設へ
非上場株式のセカンダリー取引を促進する「PISCES」とは
2025年04月03日
-
外為法の対内直接投資審査制度の改正案
中国関連組織が投資する場合を念頭に、審査対象となる範囲を拡大
2025年03月26日
-
インターネット取引におけるプロダクトガバナンス
非対面取引でのプロダクトガバナンス体制についての欧州からの示唆
2025年03月13日
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
トランプ関税で日本経済は「漁夫の利」を得られるか?
広範な関税措置となっても代替需要の取り込みで悪影響が緩和
2025年03月03日
-
地方創生のカギとなる非製造業の生産性向上には何が必要か?
業種ごとの課題に応じたきめ細かい支援策の組み合わせが重要
2025年03月12日
-
中国:全人代2025・政府活動報告を読み解く
各種「特別」債で金融リスク低減と内需拡大を狙う
2025年03月06日
-
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
-
2025年の日本経済見通し
1%台半ばのプラス成長を見込むも「トランプ2.0」で不確実性大きい
2024年12月20日
トランプ関税で日本経済は「漁夫の利」を得られるか?
広範な関税措置となっても代替需要の取り込みで悪影響が緩和
2025年03月03日
地方創生のカギとなる非製造業の生産性向上には何が必要か?
業種ごとの課題に応じたきめ細かい支援策の組み合わせが重要
2025年03月12日
中国:全人代2025・政府活動報告を読み解く
各種「特別」債で金融リスク低減と内需拡大を狙う
2025年03月06日
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
2025年の日本経済見通し
1%台半ばのプラス成長を見込むも「トランプ2.0」で不確実性大きい
2024年12月20日