サマリー
◆平成27年度の税制改正として、平成27(2015)年3月31日に「所得税法等の一部を改正する法律」およびその政省令が公布され、順次施行されている。
◆平成27年度税制改正では、財産債務調書、出国税(国外転出時の有価証券等のみなし譲渡益課税の特例)、自動的情報交換など、富裕層への税務当局による資産把握および課税の強化を目的とした改正が目立っている。本稿ではこれらについて解説する。
◆財産債務調書は、貸借対照表(バランスシート)の個人版のようなもので、年間所得2,000万円超かつ保有財産3億円以上(または有価証券等が1億円以上)の要件に該当する人は、毎年、保有する財産と債務について種類別にその金額や数量などを記載して税務署に提出しなければならない。平成27(2015)年12月31日における財産・債務から対象になる。
◆出国税(国外転出時みなし譲渡益課税の特例)は、国外転出時に保有する有価証券を譲渡したものとみなして、みなし譲渡益に所得税を課税するもので、有価証券等を時価で1億円以上保有する人が対象となる。平成27(2015)年7月1日から施行される。
◆自動的情報交換とは、各国の税務当局が非居住者に係る金融口座の情報を自動的に交換し合うことであり、OECDの共通報告基準に基づき、日本も平成29(2017)年から導入する予定である。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
執筆者のおすすめレポート
-
日本に富裕層は何人いるの?
家計を読み解く意外な数字 第15回(最終回)
2015年10月09日
-
平成27年度税制改正大綱の概要
大綱の全体像
2015年01月16日
-
ジュニアNISAの創設と投資限度額の拡大
平成27年度税制改正大綱各論①~NISA関連
2015年02月10日
-
法人受取配当課税強化の解説と問題点
平成27年度税制改正法案各論②~受取配当等の益金不算入制度
2015年02月25日
-
国際租税回避への対応と金融証券取引
~金融口座の自動的情報交換とBEPSプロジェクトを中心に~『大和総研調査季報』 2015年新春号(Vol.17)掲載
2015年03月02日
同じカテゴリの最新レポート
-
2012~2024年の家計実質可処分所得の推計
2024年は実質賃金増と定額減税で実質可処分所得が増加
2025年04月11日
-
「103万円の壁」与党修正案の家計とマクロ経済への影響試算(第5版)
所得税の課税最低限を160万円まで引き上げる与党修正案を分析
2025年03月19日
-
平成以降の家計の税・社会保険料負担の推移
『大和総研調査季報』2025年新春号(Vol.57)掲載
2025年01月24日
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
トランプ関税で日本経済は「漁夫の利」を得られるか?
広範な関税措置となっても代替需要の取り込みで悪影響が緩和
2025年03月03日
-
地方創生のカギとなる非製造業の生産性向上には何が必要か?
業種ごとの課題に応じたきめ細かい支援策の組み合わせが重要
2025年03月12日
-
中国:全人代2025・政府活動報告を読み解く
各種「特別」債で金融リスク低減と内需拡大を狙う
2025年03月06日
-
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
-
2025年の日本経済見通し
1%台半ばのプラス成長を見込むも「トランプ2.0」で不確実性大きい
2024年12月20日
トランプ関税で日本経済は「漁夫の利」を得られるか?
広範な関税措置となっても代替需要の取り込みで悪影響が緩和
2025年03月03日
地方創生のカギとなる非製造業の生産性向上には何が必要か?
業種ごとの課題に応じたきめ細かい支援策の組み合わせが重要
2025年03月12日
中国:全人代2025・政府活動報告を読み解く
各種「特別」債で金融リスク低減と内需拡大を狙う
2025年03月06日
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
2025年の日本経済見通し
1%台半ばのプラス成長を見込むも「トランプ2.0」で不確実性大きい
2024年12月20日