2015年03月02日
サマリー
近年、富裕層や多国籍企業の租税回避行為が世界的に問題となっている。
個人においては、国外に資産を移転することで税負担を回避する例、多国籍企業においては、電子商取引、ハイブリッドな金融商品・事業体、利子の損金算入、タックス・ヘイブンや各国の税制上の優遇措置、租税条約の優遇措置、PE認定の回避、無形資産の移転、グループ内取引の移転価格の操作などで合法的に税負担を軽減する例が出てきており、政治問題化している。
個人の資産の移転に関しては、米国のFATCAやOECDのCRSなど、自国民が海外に開設した口座情報を収集する仕組みが構築されている。FATCAは既に実施されており、CRSは2016年または2017年からの開始が予定されている。多国籍企業の租税回避に対しては、OECDが進めるBEPS(税源浸食と利益移転)の防止プロジェクトが進められており、2014年9月に第一段階が終了し、2015年末までに完了する予定である。わが国の平成27年度税制改正に盛り込まれる項目もある。本稿では、これらの内容を、金融証券取引への影響等にも触れつつ解説する。

大和総研調査本部が長年にわたる知識と経験の蓄積を結集し、的確な現状分析に基づき、将来展望を踏まえた政策提言を積極的に発信していくとのコンセプトのもと、2011年1月に創刊いたしました。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
執筆者のおすすめレポート
同じカテゴリの最新レポート
-
日本維新の会が掲げる税制関連施策
所得税インフレ調整・給付付き税額控除の議論が加速する見込み
2025年10月28日
-
若年層の実質可処分所得の超長期推計
20~34歳未婚男女につき、1980~2024年の45年間を推計
2025年10月20日
-
働く低所得者の負担を軽減する「社会保険料還付付き税額控除」の提案
追加財政負担なしで課税最低限(年収の壁)178万円達成も可能
2025年10月10日

