2022年07月01日
サマリー
◆2021年9月から開催されていたディスクロージャーワーキング・グループでの検討をとりまとめた「金融審議会ディスクロージャーワーキング・グループ報告 -中長期的な企業価値向上につながる資本市場の構築に向けて-」(DWG報告)が2022年6月に公表された。本稿では、DWG報告の論点の中でも、コーポレートガバナンスに関する開示などについて、ポイントや今後の展望を取り上げる。
◆DWG報告では、コーポレートガバナンスに関する開示として、有価証券報告書に取締役会、委員会等の活動状況の「記載欄」を設け、「開催頻度」、「主な検討事項」、「個々の構成員の出席状況」を開示すべきとされている。
◆また、監査について、有価証券報告書で「監査役または監査委員会・監査等委員会の委員長の視点による監査の状況の認識と監査役会等の活動状況等の説明」、「KAMについての監査役等の検討内容」を開示することが望ましいとされている。加えて、「デュアルレポーティングラインの有無を含む内部監査の実効性の説明」を開示すべきと示している。
◆さらに、政策保有株式については、有価証券報告書で「政策保有株式の発行会社と業務提携等を行っている場合の説明」を開示すべきとされている。
◆英文開示については、まずは、「事業等のリスク」、「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」、「コーポレート・ガバナンスの概要」、「株式の保有状況」など、利用ニーズの特に高い項目について、英文開示を行うことが重要と指摘している。
◆コーポレートガバナンスに関する開示拡充については、今後、DWG報告の内容を踏まえた開示拡充のための法令の改正が想定され、早ければ2023年からの適用も考えられる。企業としては、金融庁の公表する好開示例などを参考に、具体性、簡潔性、分かりやすさを兼ね備えた開示を行っていくことが期待される。
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