2022年06月21日
サマリー
◆2021年9月から開催されていたディスクロージャーワーキング・グループでの検討をとりまとめた「金融審議会ディスクロージャーワーキング・グループ報告 -中長期的な企業価値向上につながる資本市場の構築に向けて-」(DWG報告)が2022年6月に公表された。本稿では、DWG報告の論点の中でも、四半期開示の見直しを含む、情報開示の頻度やタイミングについて、ポイントや今後の展望を取り上げる。
◆四半期開示の見直しについては、四半期報告書と四半期決算短信を、四半期決算短信に一本化する方向性が示された。具体的には、上場企業についての法令上の四半期開示義務(第1・第3四半期)を廃止し、取引所の規則に基づく四半期決算短信に一本化することが適切とされている。
◆ただし、この一本化には賛同する意見が見られる一方で、正確性の担保などの点で反対する意見も複数見られる。また、一本化を進めるに当たっては、全部または一部の上場企業を対象とした四半期決算短信の義務付けの有無、開示内容、エンフォースメント、レビューの必要性、半期報告書のあり方など、様々な課題が残っている。今後、DWGでさらなる議論を深めていく必要があるだろう。
◆適時開示については、取引所において適時開示の促進を検討すべきとされている。また、検討に当たっては、適時開示のエンフォースメントのあり方についても整理することが期待されている。そのほか、有価証券報告書の株主総会前の提出に向けた企業の取組みや、重要情報の公表タイミングの早期化を促す取組みなどが期待されている。
◆四半期報告の見直しについては今後も議論が必要であり、また、仮に四半期報告書を廃止する場合には、金融商品取引法の改正が必要となるため、即座に一本化が行われるわけではないものと想定される。ただし、見直しが行われた際には、企業の開示実務に大きな影響が及ぶと考えられるため、企業は投資家にとって必要な情報が十分に提供されているのかという観点で、自社の情報開示体制などを改めて検証することが求められよう。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
執筆者のおすすめレポート
同じカテゴリの最新レポート
-
EUにおける株主確認制度
SRDⅡ(EU第二次株主権利指令)に基づく株主調査の概要と課題
2026年08月07日
-
外為法の投資審査制度の見直しの動向
情報通信技術関連業種の一部を審査対象から除外する見込み
2026年07月16日
-
インターネット取引での適合性確保
金融審議会報告にて「今後検討を深めていくべき課題」と明記
2026年07月15日
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
26年度最低賃金改定のポイント①
高市政権はより緩慢な引上げを容認/改定内容への説明責任が焦点
2026年07月09日
-
中国経済見通し:成長率目標に早くも黄信号
12.5%追加関税の影響は限定的だが、内需が急減速
2026年07月28日
-
令和9年度介護報酬改定に向けた注目点
改革工程に掲げられた重要論点の具体化が求められる
2026年06月29日
-
26年度最低賃金改定のポイント②
全国加重平均は1,160円台(4%前後の引き上げ)に着地か
2026年07月21日
-
骨太方針のポイント① ~危機管理投資・成長投資で高成長を実現できるか
米国を上回る生産性向上ペースが必要で成長戦略の進捗管理も課題
2026年07月13日
26年度最低賃金改定のポイント①
高市政権はより緩慢な引上げを容認/改定内容への説明責任が焦点
2026年07月09日
中国経済見通し:成長率目標に早くも黄信号
12.5%追加関税の影響は限定的だが、内需が急減速
2026年07月28日
令和9年度介護報酬改定に向けた注目点
改革工程に掲げられた重要論点の具体化が求められる
2026年06月29日
26年度最低賃金改定のポイント②
全国加重平均は1,160円台(4%前後の引き上げ)に着地か
2026年07月21日
骨太方針のポイント① ~危機管理投資・成長投資で高成長を実現できるか
米国を上回る生産性向上ペースが必要で成長戦略の進捗管理も課題
2026年07月13日

