2021年06月23日
サマリー
◆2021年6月11日、東京証券取引所(以下、東証)は「コーポレートガバナンス・コード」(以下、CGコード)を改訂した。本稿では、改訂CGコードへの対応について、昨今特に注目度が高まっているサステナビリティに関する開示を中心に、ESG情報開示基準に関する動向なども念頭に、東証のパブリック・コメントへの回答(パブコメ回答)の内容から得られる示唆を整理する。
◆パブコメ回答では、サステナビリティについての取組みの開示に関しては、例えばKPIを設定し、その指標の内容・数値を適宜開示するなど、目標に向けた進捗が分かるような開示をすることが有益と考えられている。また、気候変動に関する情報開示については、IFRS財団の動向も考慮しつつ、着実なデータ収集・分析を行い、形式的ではない実効的な開示に努めることが望ましいとされている。そのほか、開示を行う方法、参考資料等の活用、監督体制の整備などについても考え方が示されている。
◆上場会社は2021年12月末までに(プライム市場上場会社に関する規定については2022年4月4日以降に開催する定時株主総会の終了後、遅滞なく)、改訂に対応したコーポレート・ガバナンス報告書の提出が求められる。質・量の充実した開示を行うためにも、ESG情報開示基準、各種ガイダンス、各国の状況、他社の取組みなど、様々なものを参考に、丁寧に開示までのプロセスを進めていくことが望ましいと考えられる。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
執筆者のおすすめレポート
-
乱立するESG情報の開示基準とその現状
ESGに積極的な企業は主要な各種基準の特徴や違いを把握すべき
2021年01月12日
-
ESG情報の開示基準は統一へ向かうのか
開示基準設定機関の協調、IFRSでの検討、各国・地域での対応が進む
2021年02月05日
同じカテゴリの最新レポート
-
令和6年金商法等改正法 公開買付制度の改正内容の詳細
30%ルール適用除外となる僅少買付け等は0.5%未満の買付け等に
2025年07月15日
-
総会前開示の進展と今後求められる取組み
2025年3月期決算会社では約6割が総会前開示を実施
2025年07月15日
-
日本版スチュワードシップ・コード改訂
5年ぶりの改訂の目的は協働エンゲージメント推進と実質株主把握
2025年06月27日
最新のレポート・コラム
-
カーボンクレジット市場の新たな規律と不確実性
VCMI登場後の市場と、企業に求められる戦略の頑健性
2025年07月24日
-
金利上昇下における預金基盤の重要性の高まり
~預金を制するものは金融業界を制す~『大和総研調査季報』2025年夏季号(Vol.59)掲載
2025年07月24日
-
企業の賃金設定行動の整理と先行きへの示唆
~生産性に応じた賃金決定の傾向が強まる可能性~『大和総研調査季報』2025年夏季号(Vol.59)掲載
2025年07月24日
-
ドイツ経済低迷の背景と、低迷脱却に向けた政策転換
『大和総研調査季報』2025年夏季号(Vol.59)掲載
2025年07月24日
-
「外国人優遇」は本当か?データで見る国民健康保険・国民年金の実態
2025年07月25日
よく読まれているリサーチレポート
-
第225回日本経済予測(改訂版)
人口減少下の日本、持続的成長への道筋①成長力強化、②社会保障制度改革、③財政健全化、を検証
2025年06月09日
-
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
-
「トランプ2.0」、外国企業への「報復課税」?
Section 899(案)、米国に投資する日本企業にもダメージの可能性有
2025年06月13日
-
日本経済見通し:2025年5月
経済見通しを改訂/景気回復を見込むもトランプ関税などに警戒
2025年05月23日
-
信用リスク・アセットの算出手法の見直し(確定版)
国際行等は24年3月期、内部モデルを用いない国内行は25年3月期から適用
2022年07月04日
第225回日本経済予測(改訂版)
人口減少下の日本、持続的成長への道筋①成長力強化、②社会保障制度改革、③財政健全化、を検証
2025年06月09日
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
「トランプ2.0」、外国企業への「報復課税」?
Section 899(案)、米国に投資する日本企業にもダメージの可能性有
2025年06月13日
日本経済見通し:2025年5月
経済見通しを改訂/景気回復を見込むもトランプ関税などに警戒
2025年05月23日
信用リスク・アセットの算出手法の見直し(確定版)
国際行等は24年3月期、内部モデルを用いない国内行は25年3月期から適用
2022年07月04日