2021年01月12日
サマリー
◆近年、企業によるESGへの取り組みを評価する上で重要なESG情報を開示するための基準が乱立していることへの問題意識が高まっている。実際、基準設定機関の共同声明やIFRS財団によるサステナビリティ報告基準設定の提案など、基準の統一への動きが見られる。
◆本稿は、二本立ての構成となっている。まず、今回は前編として、主要なESG情報開示基準の概要・違いを整理しつつ、企業や投資家がどのように異なる基準に対応すべきかのポイントを示す。次回のレポートでは、複数の基準の統合や協調に向けた様々な動きや今後の展望などをまとめる。
◆ESG情報の主要な開示基準は、その目的によって開示対象とする分野、原則主義か細則主義か、想定するステークホルダー、開示チャネル、従うべき原則、開示項目などが異なる。中でも、マテリアリティ(重要性)について、各基準が「環境・社会問題による企業に対する影響の重要性」と「企業による環境・社会への影響の重要性」のどちらに重きを置いているのかを把握することは、基準を理解する上で非常に肝要である。
◆ESG情報の主要な開示基準に準拠・参照する企業は、国際的にも、わが国においても、増加傾向にある。わが国では企業に対して環境・社会問題に関する情報の開示は明確には義務付けられていないが、開示の増加傾向を踏まえれば、なるべく積極的に基準に沿った開示を行っていくことが期待される。企業が開示基準へ準拠・参照する上では、自社のESG情報の開示目的と各基準の目的・特徴を照らし合わせた上で、開示のためのガバナンス体制を構築することが求められよう。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
同じカテゴリの最新レポート
-
英国でもESG投資と受託者責任の関係は混迷
年金基金のESG投資に関するガイダンス策定を定める法案が否決
2026年04月03日
-
再評価される土壌炭素隔離とそのクレジット
バリューチェーン内除去や残余排出の中和を見据えた早期関与が重要
2026年03月23日
-
GX-ETS本格稼働で強まるJ-クレジットの早期確保への動き
市場に依存しない、上流(創出)関与と相対・長期での確保が鍵
2026年02月05日
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
米国:AIブームの裏側で高まる金融リスク
ITセクターの収益懸念が揺らすプライベート・クレジット市場
2026年03月13日
-
超富裕層の株式譲渡所得への税率はミニマムタックス込みで最高35.63%に
2026年度税制改正大綱解説(3)富裕層課税(ミニマムタックス)
2026年02月09日
-
中東情勢緊迫化が日本経済の下振れリスクに
原油価格100ドル/バレルで26年度の実質GDP成長率は▲0.2%pt
2026年03月02日
-
ガバナンス・コード改訂による取締役会等機能強化
取締役事務局の役割を列挙、保有現預金の検証、「コーポレートセクレタリー」への言及など
2026年03月11日
-
「SaaSの死」は何を意味するのか?
AIエージェントが促すSaaS業界の構造変化、経済社会・雇用への波及
2026年03月03日
米国:AIブームの裏側で高まる金融リスク
ITセクターの収益懸念が揺らすプライベート・クレジット市場
2026年03月13日
超富裕層の株式譲渡所得への税率はミニマムタックス込みで最高35.63%に
2026年度税制改正大綱解説(3)富裕層課税(ミニマムタックス)
2026年02月09日
中東情勢緊迫化が日本経済の下振れリスクに
原油価格100ドル/バレルで26年度の実質GDP成長率は▲0.2%pt
2026年03月02日
ガバナンス・コード改訂による取締役会等機能強化
取締役事務局の役割を列挙、保有現預金の検証、「コーポレートセクレタリー」への言及など
2026年03月11日
「SaaSの死」は何を意味するのか?
AIエージェントが促すSaaS業界の構造変化、経済社会・雇用への波及
2026年03月03日

