2017年12月01日
サマリー
2017年5月29日、日本版スチュワードシップ・コードの改訂版が公表された(以下、改訂版SSコード)。改訂は、「形式」から「実質」への深化を目的として、機関投資家のスチュワードシップ活動の「見える化」を進めるものと評価できるだろう。
改訂版SSコードでは、例えば、独立した取締役会や、議決権行使の意思決定や監督のための第三者委員会などのガバナンス体制を整備することが求められている。独立社外取締役の活用や第三者委員会の構成が課題となろう。
より具体的な利益相反管理方針の策定なども要求されている。運用機関は、既に金融商品取引法などに基づく利益相反管理方針等も策定している。今後、これを必要に応じて見直しつつ、対応を進めることとなろう。
改訂版SSコードは、必要に応じ、集団的エンゲージメントが「有益な場合もあり得る」との規定を新設している。機関投資家としては、インサイダー取引規制、法人関係情報規制、フェア・ディスクロージャー・ルール上の問題なども考慮しつつ、参加の要否を判断することとなるだろう。
議決権行使結果の個別開示に対する関心も高い。これが機関投資家と投資先企業との対話の「深化」と相互理解に活用されることを期待したい。

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