2017年12月01日
サマリー
2017年5月29日、日本版スチュワードシップ・コードの改訂版が公表された(以下、改訂版SSコード)。改訂は、「形式」から「実質」への深化を目的として、機関投資家のスチュワードシップ活動の「見える化」を進めるものと評価できるだろう。
改訂版SSコードでは、例えば、独立した取締役会や、議決権行使の意思決定や監督のための第三者委員会などのガバナンス体制を整備することが求められている。独立社外取締役の活用や第三者委員会の構成が課題となろう。
より具体的な利益相反管理方針の策定なども要求されている。運用機関は、既に金融商品取引法などに基づく利益相反管理方針等も策定している。今後、これを必要に応じて見直しつつ、対応を進めることとなろう。
改訂版SSコードは、必要に応じ、集団的エンゲージメントが「有益な場合もあり得る」との規定を新設している。機関投資家としては、インサイダー取引規制、法人関係情報規制、フェア・ディスクロージャー・ルール上の問題なども考慮しつつ、参加の要否を判断することとなるだろう。
議決権行使結果の個別開示に対する関心も高い。これが機関投資家と投資先企業との対話の「深化」と相互理解に活用されることを期待したい。
大和総研調査本部が長年にわたる知識と経験の蓄積を結集し、的確な現状分析に基づき、将来展望を踏まえた政策提言を積極的に発信していくとのコンセプトのもと、2011年1月に創刊いたしました。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
関連のレポート・コラム
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
日本経済見通し:2024年2月
2025年度にかけて1%前後のプラス成長と2%インフレを見込む
2024年02月22日
-
ビットコイン現物ETF、日本で組成可能か?
米SEC承認を受けて、日本で導入することの法制度上の是非を考察
2024年02月13日
-
第220回日本経済予測(改訂版)
賃上げの持続力と金融政策正常化の行方①自然利子率の引き上げ、②投資と実質賃金の好循環、を検証
2024年03月11日
-
日本経済見通し:2024年3月
24年の春闘賃上げ率5%超えを受け、日銀はマイナス金利政策を解除
2024年03月22日
-
2024年の日本経済見通し
緩やかな景気回復と金融政策の転換を見込むも海外経済リスクに注意
2023年12月21日
日本経済見通し:2024年2月
2025年度にかけて1%前後のプラス成長と2%インフレを見込む
2024年02月22日
ビットコイン現物ETF、日本で組成可能か?
米SEC承認を受けて、日本で導入することの法制度上の是非を考察
2024年02月13日
第220回日本経済予測(改訂版)
賃上げの持続力と金融政策正常化の行方①自然利子率の引き上げ、②投資と実質賃金の好循環、を検証
2024年03月11日
日本経済見通し:2024年3月
24年の春闘賃上げ率5%超えを受け、日銀はマイナス金利政策を解除
2024年03月22日
2024年の日本経済見通し
緩やかな景気回復と金融政策の転換を見込むも海外経済リスクに注意
2023年12月21日