2016年08月15日
サマリー
◆目下、欧州の金融市場では、MiFID Ⅱの掲げる「投資家保護の強化」の一環として、リサーチ費用のアンバンドリング(分離明確化)が大きな関心事となっている。
◆MiFID Ⅱは、顧客との間の利益相反を防止すべく、投資会社による第三者のリサーチの購入を原則として禁止している。
◆もっとも、MiFID Ⅱの細則を策定する欧州委員会(EC)は、①投資会社の自己負担による購入、又は②投資会社の管理する独立の“research payment account”を通じた購入の場合に限り、これを認める旨提案している(EC法案)。
◆上記②は、現在の慣行にならって顧客から預かる運用手数料に基づくリサーチの購入が可能である点は明確であるものの、ここ数年来欧米で普及しつつあるCSA(Commission Sharing Agreement)との親和性の有無が論点となっている。
◆EC法案によれば、ブローカー手数料の範囲内でのリサーチの購入を前提としている現行のCSAであっても、“research payment account”の資金調達に流用することは可能である。
◆なお、MiFID ⅡはEUを拠点とする投資会社・ブローカーを対象とする規制であることから、欧州におけるリサーチ費用のアンバンドリングの規定が日本の投資会社・ブローカーに直接関係するケースは少ないものと思われる。
◆しかし、欧州、とりわけ英国における議論は、ゆくゆくはグローバル・スタンダードに影響を与える傾向があり、日本でも同様の議論が推し進められることになる可能性はあろう。
◆現に、「伊藤レポート」(2014年8月)では、リサーチ費用のアンバンドリングについて、「セルサイド・アナリストの企業評価能力の向上や短期志向化の改善に向けて、欧米で広がっているCSA(中略)も検討に値しよう」と言及している。
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