SFDR、レベル2開示実例(商品レベル)

【8条ファンド・9条ファンド】EU拠点最大手二社の対応状況

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  • ニューヨークリサーチセンター 主任研究員(NY駐在) 鈴木 利光

サマリー

◆SFDR(EUを拠点とする資産運用会社等のサステナビリティ開示規制)は、レベル2(細則)が2023年1月1日から適用開始されている。そこで、本稿では、SFDRのレベル2ベースの開示(交付目論見書等)につき、実例を調査したうえで得た傾向等を紹介する。

◆調査対象は、EUに拠点を置く資産運用会社の最大手二社の、8条ファンド及び9条ファンドとする。

◆8条ファンドのうち、「8条ファンド+」の占める割合は、約95%(194本中184本)であった。

◆8条ファンドのうち、ESMA版“Names Rule”(案)の原則その1(80%ルール)の適用が想定される商品の割合は、約31%であった。

◆商品レベルの‘PAI’考慮で「性別による賃金格差」を指定している商品の割合は、約5%であった。

◆二社の8条ファンドにおける「‘E’/‘S’促進投資の最低割合」(中央値)は、それぞれ90%、75%であった。

◆8条ファンドのうち、‘Minimum rating coverage’を設定している商品の割合は、約19%であった。

◆8条ファンドのうち、参照ベンチマークを厳密に指定している商品の割合は、約10%であった。

◆ESMAの諮問機関であるSMSGによると、8条ファンドの本数は増加し続ける一方、9条ファンドの本数は減少し続けているという。SMSGは、9条ファンドに分類されるファンドが皆無となる一方、8条ファンドの区分が無価値化するのではないかとの懸念を示している。

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