2023年04月27日
サマリー
◆SFDR(EUを拠点とする資産運用会社等のサステナビリティ開示規制)は、レベル2(細則)が2023年1月1日から適用開始されている。そこで、本稿では、SFDRのレベル2ベースの開示(交付目論見書等)につき、実例を調査したうえで得た傾向等を紹介する。
◆調査対象は、EUに拠点を置く資産運用会社の最大手二社の、8条ファンド及び9条ファンドとする。
◆8条ファンドのうち、「8条ファンド+」の占める割合は、約95%(194本中184本)であった。
◆8条ファンドのうち、ESMA版“Names Rule”(案)の原則その1(80%ルール)の適用が想定される商品の割合は、約31%であった。
◆商品レベルの‘PAI’考慮で「性別による賃金格差」を指定している商品の割合は、約5%であった。
◆二社の8条ファンドにおける「‘E’/‘S’促進投資の最低割合」(中央値)は、それぞれ90%、75%であった。
◆8条ファンドのうち、‘Minimum rating coverage’を設定している商品の割合は、約19%であった。
◆8条ファンドのうち、参照ベンチマークを厳密に指定している商品の割合は、約10%であった。
◆ESMAの諮問機関であるSMSGによると、8条ファンドの本数は増加し続ける一方、9条ファンドの本数は減少し続けているという。SMSGは、9条ファンドに分類されるファンドが皆無となる一方、8条ファンドの区分が無価値化するのではないかとの懸念を示している。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
執筆者のおすすめレポート
-
ESMA、「8条ファンドの最低水準」の導入へ
【SFDR】ESMA版“Names Rule”のガイドライン案、数値基準の導入提案
2022年12月23日
-
SFDR、レベル1ベースの開示実例(更新②)
EU資産運用会社等のサステナビリティ開示規制、大手の対応状況
2022年09月16日
同じカテゴリの最新レポート
-
自己資本比率規制における内部格付手法の影響
内部格付手法採用行は自己資本比率の分母を7割程度に圧縮
2025年03月10日
-
バーゼルⅢ最終化による自己資本比率への影響の試算
標準的手法採用行では、自己資本比率が1%pt程度低下する可能性
2024年02月02日
-
SFDRのQ&A、9条ファンドの要件緩和へ
「格下げ」のトレンドは終焉し、パッシブ・ファンドが増加するか
2023年05月25日
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
トランプ関税で日本経済は「漁夫の利」を得られるか?
広範な関税措置となっても代替需要の取り込みで悪影響が緩和
2025年03月03日
-
地方創生のカギとなる非製造業の生産性向上には何が必要か?
業種ごとの課題に応じたきめ細かい支援策の組み合わせが重要
2025年03月12日
-
中国:全人代2025・政府活動報告を読み解く
各種「特別」債で金融リスク低減と内需拡大を狙う
2025年03月06日
-
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
-
2025年の日本経済見通し
1%台半ばのプラス成長を見込むも「トランプ2.0」で不確実性大きい
2024年12月20日
トランプ関税で日本経済は「漁夫の利」を得られるか?
広範な関税措置となっても代替需要の取り込みで悪影響が緩和
2025年03月03日
地方創生のカギとなる非製造業の生産性向上には何が必要か?
業種ごとの課題に応じたきめ細かい支援策の組み合わせが重要
2025年03月12日
中国:全人代2025・政府活動報告を読み解く
各種「特別」債で金融リスク低減と内需拡大を狙う
2025年03月06日
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
2025年の日本経済見通し
1%台半ばのプラス成長を見込むも「トランプ2.0」で不確実性大きい
2024年12月20日