2015年04月28日
サマリー
◆2015年3月12日、金融庁は、レバレッジ比率の計算方法に関する「告示」(レバレッジ比率告示)を公表している。
◆レバレッジ比率とは、「リスクベースの自己資本比率に対する、簡素なノンリスクベースの補完的指標」を指す。バーゼル銀行監督委員会(BCBS)は、2010年12月に公表した「バーゼルⅢ」にて、新たにレバレッジ比率をバーゼル規制(国際的な銀行の自己資本比率規制に関するガイドライン)に加えている。
◆レバレッジ比率告示は、BCBSが2014年1月に公表したレバレッジ比率の最終報告(レバレッジ比率テキスト)を、我が国の法律等に落とし込むものである。
◆レバレッジ比率告示の適用対象は、「国際統一基準行」である。具体的には、海外営業拠点を有する銀行、海外営業拠点を有する銀行又は長期信用銀行を子会社とする銀行持株会社、海外拠点を有する信用金庫連合会、農林中央金庫、商工組合中央金庫、最終指定親会社である。
◆当然のことながら、レバレッジ比率告示の内容は、レバレッジ比率テキストの内容と概ね一致している。
◆一点、留意点を挙げるとすれば、エクスポージャー額(分母)のうち、デリバティブ取引等に関する額の算出方法である。BCBSは、2017年1月を境に、カレント・エクスポージャー方式を撤廃し、新たにカウンターパーティ信用リスクエクスポージャー(CCR)の計測に係る標準的手法(SA-CCR)を導入することを決定している。そのため、レバレッジ比率のエクスポージャー額(分母)のうち、デリバティブ取引等に関する額の算出方法についても、SA-CCRをベースとしたものに移行する可能性があるといえよう。
◆レバレッジ比率告示は、2015年3月31日より適用されている。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
執筆者のおすすめレポート
-
レバレッジ比率の告示等の改正(案)
【金融庁告示改正案】連結財務諸表なければ単体レバレッジ比率を開示
2015年05月20日
-
レバレッジ比率の開示要件
【金融庁告示】大手行、2015年3月末よりレバレッジ比率の開示へ
2015年04月28日
同じカテゴリの最新レポート
-
自己資本比率規制における内部格付手法の影響
内部格付手法採用行は自己資本比率の分母を7割程度に圧縮
2025年03月10日
-
バーゼルⅢ最終化による自己資本比率への影響の試算
標準的手法採用行では、自己資本比率が1%pt程度低下する可能性
2024年02月02日
-
SFDRのQ&A、9条ファンドの要件緩和へ
「格下げ」のトレンドは終焉し、パッシブ・ファンドが増加するか
2023年05月25日
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
第226回日本経済予測(改訂版)
低成長・物価高の日本が取るべき政策とは?①格差問題、②財政リスク、を検証
2025年09月08日
-
聖域なきスタンダード市場改革議論
上場維持基準などの見直しにも言及
2025年09月22日
-
今後の証券業界において求められる不正アクセス等防止策とは
金融庁と日本証券業協会がインターネット取引の新指針案を公表
2025年09月01日
-
日本経済見通し:2025年9月
トランプ関税で対米輸出が大幅減、製造業や賃上げ等への影響は?
2025年09月25日
-
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
第226回日本経済予測(改訂版)
低成長・物価高の日本が取るべき政策とは?①格差問題、②財政リスク、を検証
2025年09月08日
聖域なきスタンダード市場改革議論
上場維持基準などの見直しにも言及
2025年09月22日
今後の証券業界において求められる不正アクセス等防止策とは
金融庁と日本証券業協会がインターネット取引の新指針案を公表
2025年09月01日
日本経済見通し:2025年9月
トランプ関税で対米輸出が大幅減、製造業や賃上げ等への影響は?
2025年09月25日
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日