2012年08月27日
サマリー
◆2012年6月6日、金融庁は、バーゼル規制に関して、国際統一基準行を対象として、「バーゼルⅢに関するQ&A」を公表している。
◆「Q&A」では、主に、(1)自己資本の基礎項目、(2)自己資本の調整項目、(3)自己資本の基礎項目に係る経過措置、(4)リスク捕捉の強化に関連する項目が明確化されている。
◆(1)では、配当優先株式をその他Tier1資本に算入することの可否や、LIBOR等の指標を参照して配当や利息の額を算定することの可否が明らかにされている。
◆(2)では、ダブル・ギアリングの対象が明らかにされている。すなわち、対象となる金融機関に、銀行業、協同組織金融業、貸金業やクレジットカード業等の非預金信用機関、金融商品取引業、商品先物取引業、信託業や金融代理業等の補助的金融業、保険業、総合リース業を主たる事業として営む者が該当することが示されている。また、ダブル・ギアリングに該当する資本調達手段を控除するにあたって、それがいずれの資本調達手段に該当するかを判断する際には、バーゼルⅢが適用される2013年3月31日より前に銀行が発行した商品についてはコンティンジェント・キャピタル条項の有無を考慮する必要はないとしている。
◆(3)では、その他の包括利益累計額及び評価・換算差額等に係る経過措置の計算方法が明らかにされている。
◆(4)では、内部格付手法採用行のこれに対するエクスポージャーの相関係数が1.25倍に引き上げられている「大規模規制金融機関等」の範囲が明確化されている。
◆「Q&A」は、2013年3月31日から適用される。
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