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欧州銀、資本増強に成功も危機は続く

EBA、欧州銀による資本増強の暫定結果を公表

金融調査部 主任研究員 鈴木 利光

サマリー

◆2012年7月11日、欧州銀行監督機構(EBA)は、欧州の資本不足銀行による資本増強の結果概要(概要レポート)を公表している。

◆概要レポートは、EBAが2011年12月8日に公表した、欧州銀行の資本増強に関する正式なレコメンデーション(EBAレコメンデーション)をフォローするものとなっている。

◆EBAレコメンデーションは、EU域内の銀行に対し、2012年6月末までに、自己資本比率を「一時的に」、ソブリン債のエクスポージャーを2011年9月末時点の時価評価に基づいて織り込んだ上で、普通株等Tier1比率9%まで引き上げることを要求するものである。

◆概要レポートによれば、資本不足銀行27行は、2012年6月末時点で、当初の資本不足額(約760億ユーロ)を大きく上回る、約944億ユーロ相当の資本増強を達成している。

◆資本増強のメソッドの内訳を見ると、全体の76%が自己資本の増加、24%がリスク・アセット(RWA)の圧縮となっている。

◆貸出減少の規模は、2011年9月末時点における資本不足銀行全体のRWAの0.62%のみの減少にとどまっており、懸念された大規模なデレバレッジは生じなかった。

◆27行の資本不足銀行のうち、7行は、資本増強のメソッドとして公的支援を受けている。

◆概要レポートは、各加盟国の規制当局が提出した資料に基づく暫定結果に過ぎない。そこで、EBAは、2012年9月に、資本不足銀行の財務報告(2012年6月末時点)に基づく最終報告を公表するとしている。

◆もっとも、銀行の資本不足を解消したところで、欧州危機の根幹にある、銀行のバランスシートと政府財政との間の負のスパイラルに歯止めをかけることはできない。そのため、資本増強の成功をもって、欧州危機の解決に大きく前進したと考えるのは早計だろう。

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