サマリー
◆EU・ユーロ圏が打ち出す政策の意味合いは、「財政統合への距離を縮めたか」どうかで判断される必要がある。その点、6月28日、29日のサミットに関して最も重要なことは、合意文書がユーロ共同債について一切触れなかったことである。
◆EFSF、ESMが各国政府を介さずに銀行に資本注入することが可能になるとされたことが、危機収束に向けた前進とみなされがちであるが、ESM等の原資の過少さを解決する議論が欠落している。銀行同盟の主要要素である、銀行監督、破たん処理、預金保険制度の統一の内、銀行監督の統一という財政移転を伴わない点のみが議題に上ったことも、「できるところからやる」という、これまでの手法そのままである。
◆結局、危機の最終解である財政統合への距離感を決めるのは、今回決まったことではなく、決まらなかったことの今後の扱われ方である。
◆EFSF、ESMが各国政府を介さずに銀行に資本注入することが可能になるとされたことが、危機収束に向けた前進とみなされがちであるが、ESM等の原資の過少さを解決する議論が欠落している。銀行同盟の主要要素である、銀行監督、破たん処理、預金保険制度の統一の内、銀行監督の統一という財政移転を伴わない点のみが議題に上ったことも、「できるところからやる」という、これまでの手法そのままである。
◆結局、危機の最終解である財政統合への距離感を決めるのは、今回決まったことではなく、決まらなかったことの今後の扱われ方である。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
執筆者のおすすめレポート
同じカテゴリの最新レポート
-
1-3月期ユーロ圏GDP 成長ペースは再加速
市場予想を上回る良好な結果、ただし先行きは減速へ
2025年05月01日
-
欧州経済見通し 相互関税で悲観が広がる
対米輸出の低迷に加え、対中輸出減・輸入増も懸念材料
2025年04月23日
-
欧州経済見通し 「トランプ」が欧州連帯を促す
貿易摩擦激化の可能性が高まる一方、国防費の増加議論が急展開
2025年03月21日
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
「相互関税」による日本の実質GDPへの影響は最大で▲1.8%
日本に対する相互関税率は24%と想定外に高い水準
2025年04月03日
-
「相互関税」を受け、日米欧中の経済見通しを下方修正
2025年の実質GDP成長率見通しを0.4~0.6%pt引き下げ
2025年04月04日
-
米国による25%の自動車関税引き上げが日本経済に与える影響
日本の実質GDPを0.36%押し下げる可能性
2025年03月27日
-
2025年の日本経済見通し
1%台半ばのプラス成長を見込むも「トランプ2.0」で不確実性大きい
2024年12月20日
-
日本経済見通し:2025年3月
トランプ関税で不確実性高まる中、25年の春闘賃上げ率は前年超えへ
2025年03月24日
「相互関税」による日本の実質GDPへの影響は最大で▲1.8%
日本に対する相互関税率は24%と想定外に高い水準
2025年04月03日
「相互関税」を受け、日米欧中の経済見通しを下方修正
2025年の実質GDP成長率見通しを0.4~0.6%pt引き下げ
2025年04月04日
米国による25%の自動車関税引き上げが日本経済に与える影響
日本の実質GDPを0.36%押し下げる可能性
2025年03月27日
2025年の日本経済見通し
1%台半ばのプラス成長を見込むも「トランプ2.0」で不確実性大きい
2024年12月20日
日本経済見通し:2025年3月
トランプ関税で不確実性高まる中、25年の春闘賃上げ率は前年超えへ
2025年03月24日