バーゼルⅢが銀行に与える影響に関する調査
世界大手行全体で、実質的最低水準達成に4,856億ユーロ不足(昨年6月末時点)
2012年05月25日
サマリー
◆4月12日、バーゼル銀行監督委員会は、世界各国の銀行212行を対象に、2011年6月30日時点のデータに基づき、その時点でバーゼルⅢ(バーゼル2.5を含む)を完全実施した場合に、自己資本比率がどの程度の水準になるかなどについて調査した報告書を公表した(212行の内訳は、Tier1資本が30億ユーロ超で国際的に活動している銀行(第1グループ)が103行、その他の銀行(第2グループ)が109行)。◆調査結果によると、普通株式等Tier1比率は、第1グループの平均は7.1%であった。第1グループの銀行全てが、最低所要水準である4.5%を達成するには、388億ユーロ分の資本が不足し、(実質的な最低所要水準である)7.0%を達成するには、4,856億ユーロ分の資本が不足している。なお、第1グループの税引後配当前利益合計額(2010年後半及び2011年前半)は3,566億ユー
ロ。
◆また、流動性規制に関しては、流動性カバレッジ比率は、第1グループの平均が90%、第2グループの平均が83%であった。調査対象行の全てが最低所要水準の100%を達成するには、調査対象行合計で1.76兆ユーロ(調査対象行の合計資産58.5兆ユーロの約3%)の適格流動資産が不足している。安定調達比率は、第1グループ、第2グループの平均はいずれも94%であった。調査対象行の全てが最低所要水準の100%を達成するには、安定調達額が2.78兆ユーロ不足している。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
執筆者のおすすめレポート
-
2012年05月24日
バーゼルⅢ告示(4) リスク捕捉の強化
CVAリスク相当額の加算等により信用リスク・アセットが増大
-
バーゼルⅢ告示(3) 総自己資本比率(連結)
-
バーゼルⅢ告示(2) Tier1比率(連結)
-
バーゼルⅢ告示(1)普通株式等Tier1比率(連結)
-
2011年11月22日
金融機関の破綻処理に関する国際的枠組みの創設
破綻処理制度に関する国際的スタンダードを提示し、法改正が必要な国も
関連のレポート・コラム
最新のレポート・コラム
-
2022年05月27日
内外経済とマーケットの注目点(2022/5/27)
世界経済の先行きは不透明だが、最近の日本株は底堅く推移している
-
2022年05月27日
パーパスドリブンで切り拓く「ポストSDGs時代」の経営
経営戦略としてのサステナビリティ
-
2022年05月26日
消費データブック(2022/5/26号)
個社データ・業界統計で足元の消費動向を先取り
-
2022年05月25日
日本のインフレ展望と将来の財政リスク
コアCPI上昇率は2%程度をピークに1%弱へと低下していく見込み
-
2022年05月26日
米国株式市場の注目点
よく読まれているリサーチレポート
-
2022年03月22日
日本経済見通し:2022年3月
ウクライナ情勢の緊迫化による日本・主要国経済への影響
-
2022年01月24日
円安は日本経済にとって「プラス」なのか「マイナス」なのか?
プラスの効果をもたらすが、以前に比べ効果は縮小
-
2022年03月23日
ロシアのウクライナ侵攻で一気に不透明感が増した世界経済
-
2022年02月10日
ロシアによるウクライナ侵攻の裏側にあるもの
ゼレンスキー・ウクライナ大統領の誤算
-
2022年03月17日
FOMC 想定通り、0.25%ptの利上げを決定
ドットチャートは2022-24年にかけて、計10.5回分の利上げを予想